研究課題/領域番号 |
22K08021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
萩原 智 近畿大学, 医学部, 講師 (40460852)
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研究分担者 |
工藤 正俊 近畿大学, 医学部, 教授 (10298953)
西田 直生志 近畿大学, 医学部, 教授 (60281755)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / 肝癌 / PD-L1抗体 / PD-1 / HPD / 肝細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らはヒト肝病理標本において、肝癌の分子的および免疫学的特徴に基づいて、ICI治療の予後予測因子を検討してきた。またICI投与時のregulatory T cellの状態が、その後のICI治療の効果と関わることを報告した。当施設ではICIによる肝癌治療の経験が多いが、ICI治療による抗腫瘍反応が様々であることより、本研究ではICI投与におけるHPD発症のメカニズムに焦点を絞り検討することにより、肝癌のオーダーメイド医療確立を目指す。
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研究実績の概要 |
進行肝細胞癌(肝癌) に対して、免疫チェックポイント阻害剤(ICI) である抗PD-L1抗体と抗VEGFモノクローナル抗体の併用療法の効果・安全性が確認され、ICIは肝癌治療のkey drugとなった。ICIとVEGF阻害剤併用の奏功割合は約40%程度であるが、一方で薬剤投与後に急速に腫瘍が進展する例(HPD: Hyperprogressive disease)が報告されている。HPD発症は肝癌の予後に大きく影響すると予想され、そのリスク予測には、ICI投与時の腫瘍免疫環境の理解が不可欠である。申請者らはヒト肝病理標本において、肝癌の分子的および免疫学的特徴に基づいて、ICI治療の予後予測因子を検討してきた。またICI投与時のregulatory T cell(Treg) の状態が、その後のICI治療の効果と関わることを報告した。当施設ではICIによる肝癌治療の経験が多いが、ICI治療による抗腫瘍反応が様々であることより、本研究ではICI投与におけるHPD発症のメカニズムに焦点を絞り検討することにより、肝癌のオーダーメイド医療確立を目指す。 PD-1およびCTLA-4等の免疫チェックポイント分子を標的とする新たな癌免疫療法が大きな注目を集めている。肝癌においても、PD-1あるいはCTLA4経路の阻害が有効である可能性がある。我々は新規樹立したHBxTgマウスモデルを用いて、抗PD-1抗体単独、抗PD-1抗体/VEGF阻害剤併用などの群で比較を行い、抗腫瘍効果やその縮小メカニズムの解析を行ってきた。抗PD-1抗体投与によってHPDを来しうるマウスモデルを確立しており、そのメカニズム解析を行うとともに、ヒト検体を用いて、HPD発症メカニズムの相同性も確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HBxTgマウスモデルを用いて、抗PD-1抗体単独、抗PD-1抗体/VEGF阻害剤併用などの群で比較を行い、抗腫瘍効果やその縮小メカニズムの解析を行った。VEGF阻害剤単独群では、コントロール群と比較してすべてのHBxTgマウスにおいて腫瘍縮小効果が認められたのに対して、抗PD-1抗体/VEGF阻害剤併用群では一部のマウスにおいて、少数ながら急激に腫瘍増大(抗PD-1抗体投与後、4週で50%以上増大)するマウスがいることが判明した。現在その機序について追加検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
肝癌の腫瘍微小免疫環境の構成細胞として、制御性T細胞 (Regulatory T cells, Treg)、腫瘍関 連マクロファージ (Tumor-associated macrophage, TAM)、骨髄由来免疫抑制細胞 (Myeloid derived suppressor cell, MDSC)等が挙げられる。本研究ではHPDマウスの肝臓におけるTAM, MDSC, Tregの動態をFlow-cytometryにより検討する。これらの免疫細胞をHPDモデルマウス の肝臓より分離し、産生するCytokineや細胞特異性マーカー分子の発現を網羅的マイクロアレイ解析により同定する。
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