研究課題/領域番号 |
22K08026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 慎太郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60923745)
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研究分担者 |
土屋 輝一郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40376786)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 回腸嚢炎 / 腸上皮 / 杯細胞 / 回腸嚢内視鏡表現型 / 小腸粘膜大腸化機構 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(IBD)の中でも潰瘍性大腸炎(UC)は、原因不明の慢性大腸炎の病態です。UC患者では、内科的治療抵抗性や発癌のため、約10%の症例で全大腸切除術を必要とします。その際、炎症のない回腸(小腸)から形成した嚢を肛門に吻合することで、術後は回腸嚢が直腸の役割をします。しかし、約半分の症例で、回腸嚢に炎症が生じます。重要なこととして、同様の手術を要する家族性腺腫性ポリポーシス患者では、回腸嚢炎の頻度が極めて少ないことから、回腸嚢炎はIBDの免疫病態を反映したヒトIBD発症モデルと考えられます。本研究では、回腸嚢炎の病態を理解することにより、IBD発症機序を解明したいと考えています。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease; IBD)の中でも潰瘍性大腸炎(UC)は、原因不明の慢性大腸炎の病態である。UC患者では、内科的治療抵抗性または発癌のため、10-30%の症例で、全大腸切除術を要する。その際、炎症のない回腸から形成した嚢を肛門に吻合することで、術後は、回腸嚢が腸管内容物や便を貯留する直腸の役割を担う。 しかし、最大で約50%の患者に急性回腸嚢炎が生じ、多彩な内視鏡所見を呈する。そのうち約10-15%で慢性回腸嚢炎、約10%で回腸嚢不全を呈することが知られている。また、同様の手術を要する家族性腺腫性ポリポーシス患者では、回腸嚢炎の頻度は、極めて少ないことから、回腸嚢炎はIBDの免疫病態を反映したヒトIBD発症モデルとして注目されている。特に、回腸嚢粘膜では、組織学的な大腸化が確認されていることから、小腸粘膜大腸化に伴う炎症惹起機構の存在が示唆される。 一方、研究代表者は、留学先シカゴ大学で、IBD患者で生じる回腸嚢炎の多彩な内視鏡表現型に着目し、回腸嚢の予後予測を可能にする新規内視鏡分類(シカゴ分類)を、世界に先駆けて報告した。シカゴ分類では、回腸嚢体部にびまん性炎症を呈する表現型が回腸嚢切除リスクと有意に相関することが明らかとなったが、その炎症進展機構は未だ明らかとなっていない。 そこで、本研究では、回腸嚢表現型ごとに、粘膜構造、上皮遺伝子発現、腸内細菌叢を評価し、多角的アプローチによる表現型形成機序の理解から、IBD病態発症機序の解明を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の進捗としては、筑波大学附属病院で、大腸全摘及び回腸嚢肛門吻合術を施行され、術後回腸嚢内視鏡を実施した51例の UC患者を同定した。合計395件の回腸嚢内視鏡所見評価を終了した。さらに、回腸嚢生検検体における硫酸化ムチン産生杯細胞(大腸型杯細胞)の組織学的染色法(High iron diamine[HID]染色)をセットアップすることができ、回腸嚢内視鏡表現型やその予後との関連も評価しえた。従って、本研究は、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、腸上皮オルガノイドを樹立して回腸嚢炎における小腸上皮大腸化の分子機構の解明を目指す。また、マイクロバイオームと回腸嚢表現型との相関解析なども計画している。
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