研究課題/領域番号 |
22K08028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸三 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30723746)
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研究分担者 |
畑 昌宏 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90892505)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 胃がん / APC / GAPPS / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
GAPPS(Gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach:家族性胃底腺ポリポーシス)の原因となる、APC遺伝子非翻訳領域SNP模倣する遺伝子改変マウスをCRISPR/Cas9システムを利用し作成および解析することで、GAPPSの癌化メカニズム解明と、そのシグナル経路を標的とした治療可能性及び臨床応用へと展開するための研究基盤の確立する。
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研究実績の概要 |
前年度、本研究では、GAPPSのモデルマウスを作成するあたり、ヒトとマウスのDNAの相同性とpromoterの機能的類似性を確認するため、APC promoter内にあるSNP(-195AtoC,-118del)より転写活性がヒト、マウス間で高い類似性を確認し、RIPSR/Cas9システムを使用しマウス受精胚前核に精製Cas9およびゲノム編集用sgRNA,ドナーoligoを注入しGAPPSモデルマウス作成した。前年度、24週齢のGAPPSマウス解析を行った。さらに48週齢GAPPSモデルマウスの病理学的解析を行ったところ、マウス胃体部の肥厚と上皮化成の悪化が観察できた。ただし、48週齢の観察でも、胃癌が発生したマウスは観察されなかった。一方、追加した48週齢の観察でも大腸、小腸において腫瘍の発生等がないかを観察しところ、ヒトGAPPSとの類似するように表現型は見られなかった。免疫染色にて、胃粘膜細胞の分化パターンを解析したところ、壁細胞の減少とムチン産生細胞の増加を確認し、化成変化が起きていることが確認できた。さらに、化成変化を起こした粘膜では、血球細胞の集簇も確認された。このことは、何らかの免疫的な変化が表現型に寄与している可能性を示唆している。次に、GAPPSマウスより採取した、胃オルガノイドの培養に成功し、RNAseqにて遺伝子発現を網羅的に解析したところ、発癌に寄与することが示唆されている特定のシグナル経路の活性が、確認された。そのシグナル経路を阻害する、低分子化合物を添加してGAPPSオルガノイドを培養したところ、増殖能の低下を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究にて作成したGAPPSマウスにおいて、ヒトと類似性のある胃特異的な表現型を確認することができた。作成したマウスよりオルガノイドを作成し、網羅的な解析を行うことで、その表現型に寄与しているシグナルを同定することができており、おおむね研究の進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
作成したGAPPSモデルマウスの解析数を増加させ、また、現在48週齢まで解析を終えているが、現在のところ、人と同じように発癌にまで至った個体は観察されていない。今後、72週まで、さらに長期間の解析を行うことで、発癌の有無やさらなる表現型の有無を評価していく予定である。また、GAPPSモデルマウスへのピロリ菌の感染実験を行うことで、GAPPSにおいても、ピロリ菌によって発癌が誘導されるかどうか検証していく予定である。さらに、p53マウスなどの他の遺伝子改変マウスと交配させることで、発癌が見られるかどうか検証も加えることを計画している。
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