研究課題/領域番号 |
22K08030
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇座 徳光 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30447958)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 膵癌 / 胆道癌 / 光免疫療法 / in situワクチン / デリバリーデバイス / 胆管癌 / 光免疫 / インテグリン |
研究開始時の研究の概要 |
①膵癌、胆道癌切除標本およびモデルマウスにおけるインテグリンαVβ6の発現解析、②光免疫療法を誘導するためのIR700標識抗インテグリンαVβ6抗体の作製、③これを用いたin vitroおよびin vivoにおける光免疫誘導の検証、④光免疫療法による局所の抗腫瘍効果とそれを引き金とする全身性の抗腫瘍免疫誘導効果の検証、⑤レーザー照射機能付きファイバースコープとこれを標的部位へ誘導するためのデリバリーシステムの開発とその実行可能性を検証することである。以上より、本研究では、最難治癌である膵癌および胆道癌に対して、実臨床での応用を視野に入れた光免疫療法を利用した新たながん免疫療法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
1. 前年度から症例数を増やし、ヒト膵癌および胆道癌切除標本におけるインテグリンαVβ6の発現を検討した結果、膵癌患者の全例、胆道癌患者の約82%に発現を認めた。 2. 本年度は抗インテグリンαVβ6抗体を作製することに成功し各種実験を行った。 2-1. IR700結合インテグリンαVβ6抗体(V6-IR700抗体)を用いて、各種膵癌細胞株における光免疫療法(NIR-PIT)の効果を検証した。各種膵癌細胞株ならびに膵癌モデルマウスから樹立した細胞株(KPC-N)に対するV6-IR700抗体を用いたNIR-PIT療法は、NIR単独照射群やV6-IR700抗体単独投与群などのコントロール群に比して、細胞死誘導効果を認めるものの、統計学的有意差は認めなかった。 2-2. V6-IR700抗体によるNIR-PIT効果をin vivoでも検証した。膵癌細胞株を同種マウスに皮下移植し、V6-IR700抗体腫瘍内投与後のNIR-PIT療法の腫瘍縮小効果と生存期間を検証した。V6-IR700抗体を用いたNIR-PIT療法は、in vitro同様、NIR単独照射群やV6-IR700抗体単独投与群などのコントロール群に比して、腫瘍縮小効果に有意差を認めず、生存期間にも差はなかった。 3. 通常ではアクセス困難な膵内や胆管内へのアプローチを可能にするデリバリーデバイスとNIR-PIT用ファイバースコープを開発している。デリバリーデバイスは、前年度作製したプロトタイプの先端をより細径化し剛性を強化することで、十二指腸乳頭で屈曲することなく、標的部位へ安全かつ正確に送達することが可能となった。一方、ファイバースコープに関しては、胆管モデルを用いて実行可能性評価を行ったところ、ファイバースコープを標的部位に送達することは可能であったが、十二指腸乳頭などの屈曲の強い部位でのファイバーの一部断裂を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたインテグリンαVβ6モノクローナル抗体の作製が遅れたこと、今年度作製に成功したIR700結合抗インテグリンαVβ6抗体が当初想定した腫瘍縮小効果を呈しなかったことから研究の進捗は遅れている。今後はこれらの問題点を改善するように努める。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のように、V6-IR700抗体の作製に成功したものの、CD44-IR700抗体を用いた実験系のような有意な細胞死誘導効果や腫瘍抑制効果は得られなかった。これは、①CD44に比べてインテグリンαVβ6の発現が弱い、②細胞表面のインテグリンαVβ6タンパクとV6抗体の親和性が弱い、③IR700の機能が十分でないなどが理由と考えられる。今後は、これらを検証し最適なプロトコルを確立し、当初の実験を遂行する。またデリバリーデバイスに関しては形状、剛性ともに改善し実行可能性が得られたが、ファイバースコープに関しては、剛性の点で改善点がありこれらを克服するよう研究開発を進めて行く。今後もNIR-PIT/K3-SPG in situワクチン併用療法確立のための安全かつ正確なデバイスの完成を目指して検証および改良を進めていく。
|