研究課題/領域番号 |
22K08042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
今井 仁 東海大学, 医学部, 助教 (40725363)
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研究分担者 |
津川 仁 東海大学, 医学部, 講師 (30468483)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸内細菌 / IgA / 腸管免疫 / クローン病 |
研究開始時の研究の概要 |
クローン病(CD)の要因は様々だが腸内細菌の異常が近年報告されている。さらには、CDの腸管から分離同定される病原性共生菌の存在も知られるようになった一方、それらの病原性共生菌と宿主免疫応答の詳細は未だ解明されていない。そこで、申請者らは、CDにおける病原性共生菌と宿主免疫の関連を解析し、臨床応用につなげることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、クローン病(CD)に関連する病原性共生菌である接着性侵入性大腸菌(Adherent Invasive E. coli ; AIEC)に対するIgA応答の解明とその臨床応用である。申請者はまず、獲得免疫誘導のために抗生剤前処理(ストレプトマイシン、アンピシリン)を行ったSPFマウスにAIECの代表株であるLF82を長期感染させるモデルマウスの作製に成功した。すると、AIEC感染マウスでは3週目以降にAIECに反応するIgAが誘導されることを見出した。この抗AIEC-IgA抗体は非病原性大腸菌(HS株を使用)には反応は示さず、AIECに特異的であることが分かった。これは、複数のnon-AIEC株、AIEC株の細菌を用いて検討したが、明確に両者を識別できることが示された。さらに、AIECに代表的な表面抗原であるFimH, OmpA, OmpCをそれぞれの欠損株を用いて評価することで、抗AIEC-IgA抗体が認識している病原抗原である可能性が示唆された。さらに、この抗AIEC-IgA抗体が産生される生理的な意義を示すため、AIECに対するin vitroでの抗体下でのinvasion assayを行った。その結果、興味深いことに、抗AIEC-IgA抗体は、非病原性大腸菌感染マウス由来のIgA分画、および大腸菌感染のないコントロールマウス由来のIgA分画と比較して、明確にAIECの上皮細胞セルライン(Caco-2)への侵入を阻害することが示された。これは、免疫組織化学染色でも同様の結果を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIECに対する宿主の免疫応答の一旦の解明が順調に成果を上げている。すなわち、病原性共生菌には特異的なIgAを産生することで、上皮細胞への接着侵入を阻害・抑制している機能があることが明確に示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの抗AIEC-IgA抗体のモノクローナル化を目指していく。すなわち、AIEC感染マウスの腸管粘膜内B細胞を分離しミエローマ細胞とフュージョンさせ、ハイブリドーマの作製を行っていく。そして、AIECにより選択的に反応するIgAの取得を目指し、診断・治療への応用を目指していく。
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