研究課題/領域番号 |
22K08045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
松岡 洋祐 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 腫瘍増殖制御学部上級博士研究員 (60263258)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 小腸 / 細胞死 / 炎症性疾患 / 小腸絨毛 / 器官培養 / BMPシグナル / 炎症性腸疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
小腸絨毛上皮細胞の細胞死は健康な状態では適切な頻度で絨毛先端部のみで起こります。しかし、病的な状態で多数の細胞死が定められた場所以外で起こると上皮バリア機能を損なうため、炎症性腸疾患の原因となります。このことは、健康な状態で起こる細胞死の「場所」、「頻度」を制御する仕組みの破綻が炎症性腸疾患の発症に結びつくことを意味しています。マウス個体及び独自に確立した小腸粘膜器官培養系を用いて、細胞死の「場所」と「頻度」を制御している仕組みの実態を把握し、炎症性腸疾患の新たな予防法、治療法の開発に貢献することを目指します。
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研究実績の概要 |
小腸絨毛上皮細胞の細胞死は生理的条件下では適切な頻度で絨毛先端部のみで起こる。細胞死の「場所」、「頻度」を規定する制御機構の破綻が炎症性腸疾患の発症に結びつくと考え、これら制御機構を担う特異的シグナルカスケードの解明を目指している。 本年度は「頻度」を規定する因子として見出したRIPK1に依存して、小腸絨毛上皮細胞の細胞死が精神的ストレス下で亢進することを示した論文を公表した。RIPK1を抑制するキナーゼであるTBK1のタンパク質量が精神的ストレス下ではストレスホルモンの作用により減少することが、その原因の一つと考えられた。精神的ストレスが炎症性腸疾患の増悪因子であることがすでに示されているが、本研究はその機構の一部を説明するものである。 「場所」を規定する因子の有力候補であったMAP3K1に関しては、昨年度、細胞死の阻害剤であるPDの直接の標的ではないことが判明したので、本年度はPDの直接の標的を同定することを試みた(MAP3K1を中心とした解析は本年度は方法、材料の準備は整ったが、実行には至らなかった)。ビオチン化したPDを作成し、それが細胞死抑制活性を維持していることを確認した。今後、この化合物を用いてPDの標的を精製する予定である。標的が同定できれば、標的とMAP3K1との関係も自ずと解明されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2つの柱である、細胞死の「場所」を決める因子と「頻度」を決める因子のうち、「場所」については因子決定の準備は進んでいるが、その同定には至っていない。一方、「頻度」を決める因子である RIPK1に関して、炎症性腸疾患に関連する論文を公表することができた。以上より、全体としては、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ビオチン化PDを用いて、PDの標的を同定するとともに、標的とMAP3K1との関係を明らかにすることで、細胞死の「場所」を決める因子の解析を進める。
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