研究課題/領域番号 |
22K08060
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
守屋 圭 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40526852)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 糖化ヘスペリジン / 抗酸化的機序 / 原発性胆汁性胆管炎 / 抗酸化剤 / ヘスペリジン / Nrf2 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝疾患の病態進展には酸化ストレスが深く関与し、原発性胆汁性胆管炎(PBC)でもNrf2/Keap1経路を介した抗酸化的機序に障害があることが最近報告された。また、漢方医学において『陳皮(蜜柑の干皮)』は身体機能停滞改善の理気剤として用いられ、その有効成分のヘスペリジンはNrf2賦活化作用を有する。 ヘスペリジンを使用したNrf2/Keap1経路の賦活化によるPBCの病態改善を試みた既報はないため、本剤によるPBC病態改善効果の有無を明らかにする研究を実施し、PBC治療薬としての可能性を検証する。本研究成果は、酸化ストレスの関与が知られる各種の炎症性疾患の治療にも広く貢献できる可能性がある。
|
研究実績の概要 |
本研究の対象患者として、原発性胆汁性胆管炎患者計75名から研究参加同意を得た。その上で、jRCTに登録・承認済みの研究計画書通りに糖化ヘスペリジンの無作為割り付け投与を実施した。介入前、介入後8週、16週、24週、36週の各時点で血液検査を通常診療の範疇で行い、胆道系酵素値を含む肝機能検査結果を網羅的に収集した。 その結果、本研究のプライマリーエンドポイントである糖化ヘスペリジン(gHes) 24週継続投与後の血清γGTP値の変化率は、1000mg群で投与前相対比は中央値0.91(IQR 0.68-1.03、p=0.02)と有意に低下していたが、500mg群では同値1.00(IQR 0.86-1.11、p=0.78)と変化は認めなかった。セカンダリーエンドポイントのひとつであるγGTP値の経時的変化に関して、各群別解析では上記を除き統計学的に有意な低下を示さなかったが、対象者全体での前後比較では24週と36週時点で各々0.94(IQR 0.77-1.08)、0.91(IQR 0.77-1.08)と有意に低下していた(p=0.04、p=0.02)。なお、投与量が異なる2群間比較では上記の検討項目で有意差は認めなかった。 全観察期間中にgHesとの関連を疑う有害事象はみられなかった。 現在は余剰血清を用いて、糖化ヘスペリジンによる抗酸化的機序の解明を目的としたNrf2/Keap1経路に関わる分子の蛋白定量をELISA法を用いて遂行中である。 本研究は当初の予定通りに進捗できており、最終年度の2024年夏までにはヒト研究に関する全ての解析対象結果が判明し、同年秋には論文投稿に進められる見込みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに研究は進捗しており、原発性胆汁性胆管炎患者における糖化ヘスペリジンの病態改善効果が明らかになりつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
下記に記したとおり、国際学会での研究成果発表は実施できている。 そのため、残りの期間でこれらの研究成果に関する論文化を確実に推進していく。
|