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腸刷子細胞の2型免疫応答に関わるストレス応答因子 ATF5 の新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K08064
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53010:消化器内科学関連
研究機関東京薬科大学

研究代表者

中野 春男  東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (60601870)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード2型免疫応答 / 腸刷子細胞 / ストレス応答因子 / 細胞分化 / 2型免疫応答 / ストレス応答 / 小腸 / 転写因子
研究開始時の研究の概要

2型自然リンパ球が関わる2型免疫応答は、寄生虫に対する生体防御反応である一方、アレルギー疾患の主因でもあり、その制御機構の解明は急務である。本研究は、転写因子ATF5 が感染寄生虫を認識する腸刷子細胞を制御し、過剰な2型免疫応答を抑制する因子の一つであると仮説を立て、2型免疫応答を抑えるATF5 発現細胞の特定や、腸刷子細胞の分化に関わるATF5 の標的遺伝子や作用機序を明らかにすることが目的である。本研究から、腸刷子細胞の機能を制御するメカニズムが明らかとなれば、腸刷子細胞を標的とした新たな感染寄生虫の排除や抗アレルギー制御の創薬研究に発展させることが期待される。

研究実績の概要

2型自然リンパ球が関わる2型免疫応答は、寄生虫に対する生体防御反応である一方、アレルギー疾患の主因でもあり、その制御機構の解明は急務である。申請者は、感染寄生虫を認識し2型免疫応答を惹起する腸刷子細胞を制御する新規因子としてATF5遺伝子に注目し、腸刷子細胞の分化に関わるATF5 の標的遺伝子や作用機序を明らかにすることを目的としている。
本年度は、腸刷子細胞分化に関わるATF5の標的遺伝子を明らかにすることを目的とした。前年度に確立した野生型、及びATF5欠損型の腸オルガノイド培養系を用いて、2型免疫応答を惹起するIL-13サイトカインを刺激して腸刷子細胞の分化を誘導した後、定量PCR実験により腸刷子細胞に発現する遺伝子を解析した。その結果、腸刷子細胞に発現する一部の生理活性物質や神経伝達物質に関連した遺伝子の発現量が、ATF5欠損型で増加傾向にあることが見出された。これらの遺伝子が腸刷子細胞におけるATF5の標的遺伝子の候補として得られた。Hemagglutinin(HA)エピトープタグをATF5に挿入したATF5-HAノックインマウスより腸オルガノイド培養を確立し、HA抗体を用いたクロマチン免疫沈降実験によるATF5の転写標的遺伝子の探索を可能とした。
ATF5タンパク質翻訳を正に制御しているeIF2αのリン酸化が腸陰窩のパネート細胞で特に生じていること、及びパネート細胞における抗菌ペプチド発現異常が腸刷子細胞による2型免疫応答を過剰に惹起することが報告されたため、ATF5欠損型マウス腸におけるパネート細胞の抗菌ペプチド遺伝子発現を定量解析した。その結果、2型免疫応答を惹起されたATF5欠損マウス小腸において抗菌ペプチド遺伝子の発現異常が見出された。パネート細胞の抗菌ペプチド発現異常もATF5欠損マウスの腸刷子細胞の過剰形成に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

やや遅れている理由は次の通りである。
条件的ATF5欠損マウスを作製すべく、CRISPR/Cas9ゲノム編集によるATF5遺伝子へのloxP配列挿入実験を実施したが、ATF5遺伝子領域(エクソン2)へのloxP配列の挿入が確認できなかった。

今後の研究の推進方策

本研究計画の一つである条件的ATF5欠損マウスの作製について、目的とするATF5遺伝子領域へのloxp配列ノックインマウスは得られていないが、野生型やATF5欠損型、ATF5-HAタグノックインマウスからの腸オルガノイド培養系の確立に成功し、腸刷子細胞の分化に関与するATF5の機能を解析するツールを得ている。そこで次年度は、腸刷子細胞の分化に関わる転写因子ATF5の標的遺伝子と作用機序を明らかにすることを目的に、ATF5-HAノックイン腸オルガノイド培養を用いたクロマチン免疫沈降実験を行う。腸刷子細胞の分化誘導性サイトカインIL-13を刺激した野生型、ATF5欠損型腸オルガノイドよりRNAを調整し、定量PCR実験やRNA-seqによる遺伝子発現解析を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Nescient helix-loop-helix 1 (Nhlh1) is a novel activating transcription factor 5 (ATF5) target gene in olfactory and vomeronasal sensory neurons in mice2024

    • 著者名/発表者名
      Ishii Chiharu、Nakano Haruo、Higashiseto Riko、Ooki Yusaku、Umemura Mariko、Takahashi Shigeru、Takahashi Yuji
    • 雑誌名

      Cell and Tissue Research

      巻: 396 号: 1 ページ: 85-94

    • DOI

      10.1007/s00441-024-03871-0

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Activating transcription factor 5 (ATF5) controls intestinal tuft and goblet cell expansion upon succinate-induced type 2 immune responses in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Nakano Haruo、Hata Ayano、Ishimura Usato、Kosugi Ryo、Miyamoto Eina、Nakamura Kota、Muramatsu Takumi、Ogasawara Moe、Yamada Motohiro、Umemura Mariko、Takahashi Shigeru、Takahashi Yuji
    • 雑誌名

      Cell and Tissue Research

      巻: 393 号: 2 ページ: 343-355

    • DOI

      10.1007/s00441-023-03781-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2型免疫応答時の腸刷子細胞の分化制御に関わるストレス応答因子ATF52023

    • 著者名/発表者名
      中野春男
    • 雑誌名

      アレルギーの臨床

      巻: 43 (1) ページ: 42-45

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ストレス応答因子ATF5 mRNAにおける上流ORFが関与する翻訳制御と生理機能の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小出真蒔、 竹内茉由、中野春男、梅村真理子、高橋滋、高橋勇二、新開泰弘
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ストレス応答因子ATF5欠損マウス小腸の2型免疫応答で生じたパネート細胞の分化異常2023

    • 著者名/発表者名
      中村航汰、中野春男、小杉遼、石村宇里、宮本英奈、畑綾乃、梅村真理子、高橋滋、高橋勇二、新開泰弘
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大脳皮質発達過程におけるストレス応答転写因子ATF5の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      蛭川遼大、梅村真理子、小林永和、中野春男、高橋滋、高橋勇二、新開泰弘
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マウス嗅覚器における転写因子ATF5の新規標的遺伝子の探索2022

    • 著者名/発表者名
      石井千陽、中野春男、梅村真理子、高橋滋、高橋勇二
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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