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心筋細胞と心筋線維芽細胞の相互作用に着目した拘束型心筋症・心室拡張障害の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K08101
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53020:循環器内科学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

小垣 滋豊  大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00311754)

研究分担者 石田 秀和  大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50467552)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード拘束型心筋症 / 心筋線維芽細胞 / iPS細胞
研究開始時の研究の概要

小児拘束型心筋症(RCM)は予後不良の難病であり、多くが心臓移植によってしか救命できない。RCMにおける拡張障害の発症機序については不明な点が多く、我々はこれまで、心筋線維芽細胞が拘束型心筋症の病態に果たす役割について解析を行い、患者由来心筋線維芽細胞は、健常心筋細胞の拡張能を悪化させることを発見した。本研究では、心筋細胞と心筋線維芽細胞の相互作用が病態に及ぼす影響をより詳細に解明するため、RCM患者由来iPS細胞から心筋細胞を分化誘導し、トロポニン変異を持つ心筋細胞が心筋線維芽細胞に及ぼす影響について解析する。これにより、心筋細胞ー心筋線維芽細胞相互作用に着目した治療法の開発を目指す。

研究実績の概要

当院にて心臓移植を受けた小児拘束型心筋症(RCM)患者の血液細胞からトロポニンI遺伝子に既知の病原性バリアントをヘテロ接合で有するiPS細胞株を樹立した。このiPS細胞株に対して、CRISPR/Cas9システムを用いることで、トロポニンIの変異を修復したiPS細胞株(Isogenic corrected line)と、ホモ接合体にした株(Homo line)を作成した。すべてのiPS細胞株は同様に心筋細胞への良好な分化誘導が可能であった。
これらの細胞株を心筋細胞へと分化誘導したのちに、心筋細胞の収縮および拡張能をモーションアナライザーを用いて解析したところ、RCM株とHomo株において、有意に拡張能の低下を認めた。一方で、トロポニン複合体の形成や、電子顕微鏡によるサルコメアの形態学的な異常は認められなかった。これは患者の心室筋の表現型と同じであった。RNA-seq解析では、接着因子シグナルやTGFβシグナルに異常を認め、心筋拡張能の低下に関与している可能性が示唆された。ここまでの成果は、Journal of the American Heart Association誌に発表した。
次に、健常の心筋線維芽細胞と共培養を行った。これはインサートを用いたindirect co-cultrue系で行った。48時間の共培養の後、心筋線維芽細胞のRNA-seqを行ったところ、ヘテロ接合体である患者iPS細胞由来心筋細胞と共培養した心筋線維芽細胞は、その発現パターンが、isogenic corrected iPS細胞由来心筋細胞と共培養した心筋線維芽細胞や、共培養を行っていない線維芽細胞と比較して、かなり異なっており、またこの差異はHomo -iPS由来の心筋細胞と共培養した心筋線維芽細胞ではより顕著であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RCM-iPS細胞の樹立および、isogenic lineの構築、またそれらの心筋細胞への分化誘導は大変効率よく行うことが出来ている。また、共培養実験についても順調に行っており、RCM-iPSC由来心筋細胞や、ホモ接合体に遺伝子改変したiPS細胞由来心筋細胞と共培養した心筋線維芽細胞では、網羅的遺伝子発現プロファイルが有意に変化することを示すことが出来ている。成果の一部についてはすでに論文発表まで行っている。

今後の研究の推進方策

RCM-iPS細胞由来の心筋細胞や、CRISPR/Cas9によって遺伝子改変を行いトロポニンI変異を修復したisogenic lineや、ホモ接合体にしたlineを由来とする心筋細胞を、健常の心筋線維芽細胞と共培養を行い、RCM-iPS細胞由来心筋細胞と共培養した心筋線維芽細胞はその遺伝子発現プロファイルが変化していることが確認できている。次には、これら発現パターンが変容した心筋線維芽細胞を、逆に健常iPS細胞由来の心筋細胞と共培養することで、健常心筋細胞の収縮能や拡張能が変化するかどうかを現在検証中である。プレリミナリー実験では、心筋細胞拡張能に悪影響を与える可能性が示唆されている。これにより、心筋細胞と心筋線維芽細胞の相互作用が、双方向性であるのかどうかを検証する。
また、これまでの我々の研究により同定されている、心筋線維芽細胞の拡張能を悪化させうる液性因子について、これらの阻害薬あるいはリコンビナントタンパクを培地に添加することで、心筋細胞の拡張能が改善するかどうかについての実験を行い、具体的にどのシグナル経路、どの分子が、心筋細胞の拡張能増悪に大きく寄与しているのかを明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Impaired Relaxation in Induced Pluripotent Stem Cell‐Derived Cardiomyocytes with Pathogenic TNNI3 Mutation of Pediatric Restrictive Cardiomyopathy2024

    • 著者名/発表者名
      Wang Renjie、Hasegawa Moyu、Suginobe Hidehiro、Yoshihara Chika、Ishii Yoichiro、Ueyama Atsuko、Ueda Kazutoshi、Hashimoto Kazuhisa、Hirose Masaki、Ishii Ryo、Narita Jun、Watanabe Takuji、Kawamura Takuji、Taira Masaki、Ueno Takayoshi、Miyagawa Shigeru、Ishida Hidekazu
    • 雑誌名

      Journal of the American Heart Association

      巻: 13 号: 6

    • DOI

      10.1161/jaha.123.032375

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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