研究課題
基盤研究(C)
モノアミンの一つであるセロトニンがヒストンH3の5番目のグルタミンと共有結合して、遺伝子発現制御及び細胞の分化誘導に関わる新しいヒストン修飾であることが明らかになってきた。ヒストンセロトニン化による新規エピジェネティクスと、トランスクリプトーム、プロテオームによるオミックス情報を統合して、心不全の発症・進展における多様性を明らかにして、TGM2によるヒストンセロトニン化の分子機構を明らかにするとともに、これが新しい心不全の治療ターゲットとなるかを検討する。
心疾患は、ほとんどが環境要因や遺伝的素因が複雑に影響し発症する多因子疾患である。環境因子がどのように遺伝子情報に作用するかについては、エピジェネティクスと呼ばれるDNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステムが重要な役割を果たしている。最近、モノアミンの一つであるセロトニンがヒストンH3の5番目のグルタミンと共有結合して、遺伝子発現制御及び細胞の分化誘導に関わる新しいヒストン修飾であることが明らかになってきた。本研究の目的は、ヒストンセロトニン化の心臓における役割を解明することである。そのため、ヒストンセロトニン化に関与する組織トランスグルタミナーゼ2(TGM2)の心筋細胞特異的ノックアウトマウスを用いて心不全の病態モデルでの解析を行う。心筋細胞特異的TGM2ノックアウトマウスを確立した。TGM2floxマウスとMHCプロモーター下でCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとを交配した。結果TGM2ノックアウトマウスはメンデルの法則での遺伝子型比率で生まれ、発達異常は認めなかった。TGM2ノックアウトマウスにおける心臓TGM2蛋白発現をウエスタンブロッティングで解析し、TGM2のノックアウトを確認した。8週齢のマウスのベースラインで、心エコーによる心機能解析を行い、心臓を含む各臓器重量を測定した。当該年度は、病態モデルとして、圧負荷心不全モデル、HFpEFモデルを作成して、TGM2ノックアウトマウスの表現型の解析を行い、TGM2ノックアウトマウスでは、心不全の増悪を認めることが示唆されており、さらなる解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当該年度に予定していたノックアウトマウスを用いた心不全病態モデルの確立、心機能の解析、表現型の解析を完了することができ、計画が予定通りに進んでいるため。
HFpEFモデルにおけるTGM2ノックアウトマウスの心不全増悪の分子機構を明らかにする。ヒストンセロトニン化結合DNAの網羅的解析(Cut and Run-シークエンス)とトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析によるオミックスの構築を行う。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 10件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (51件) (うち国際学会 14件、 招待講演 3件)
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