研究課題/領域番号 |
22K08118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
泉 知里 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部門長 (70768100)
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研究分担者 |
森田 佳明 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80628074)
天野 雅史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10826134)
森内 健史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (50872941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 左房機能 / 駆出率の保たれた心不全 / 心エコー / MRI / 利尿ペプチド / ナトリウム利尿ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の増加に伴い、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)が増加しているが、多様な病態ゆえ有効な薬物治療は確立されていない。近年、HFpEF患者における左房機能と予後の関係が報告されているが、その評価方法は確立されておらず、実臨床での応用には至っていない。 HFpEFにおいて左房機能を評価し、左室拡張機能に加えて左房機能に着目しHFpEF患者を層別化すること、心エコー図による左房機能評価の確立・普及を目指すことを目的とする。 左房機能の観点からHFpEF患者の心不全治療薬に対する反応性や予後を見直すことにより、HFpEFの個別化治療へとつながり、患者の予後改善・医療経済の負担軽減が期待できる。
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研究実績の概要 |
高齢者の増加に伴い、心不全患者、とくに左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)が増加しているが、病態の多様性のため、有効な治療法は未だ確立されていない。 近年、HFpEF患者における左房機能と予後の関係が報告されているが、その評価方法は確立されておらず、実臨床での応用には至っていない。HFpEFにおいて左房機能を評価し、左室拡張機能に加えて左房機能に着目しHFpEF患者を層別化すること、さらに心エコー図スペックルトラッキン法による左房機能評価に関する現在の問題点を洗い出し、左房機能評価の確立・普及を目指すことを目的とする。さらに、心臓MRIにより、左房機能、左房壁の組織正常評価の可能性についても検討する。 2023年は、後向き登録に関して、運動負荷心エコー図検査と右心カテーテルを施行したNYHA2度のHFpEF患者を対象に、Stiff LA郡とNon-Stiff LA群に分けて検討し、運動負荷エコー所見のStiff LA診断における有用性を評価し、2024年3月の日本循環器学会で発表した。また前向き登録に関しては、2023年4月より登録を開始し、8例の症例を登録した。今後、登録症例を増やし、左房ストレインの機種間の違いや、バイオマーカー、心臓MRIデータも含めて、解析する予定である。 HFpEFに対する薬物治療において、SGLT2阻害薬の有効性が示されているが、サクビトリルバルサルタン(ARNI)はBNPよりもむしろANPに基質特異性が高く、左房機能低下が主病態である症例においては、よりARNIが有効である可能性がある。 左房機能の観点からHFpEF患者の心不全治療薬に対する反応性や予後を見直すことにより、HFpEFの個別化治療へとつながり、患者の予後改善・医療経済の負担軽減が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年は、後向きおよび前向き登録研究の研究計画書を作成し、倫理委員会で承認を得た。その後、後向き登録に関して、今までに運動負荷心エコー図検査を施行した患者から、以下の1)-3)を満たす患者を抽出した。1)NYHA 2度以上の有症候性心不全患者、2)登録時の心エコー図検査でEF40%以上の患者、3)a), b) いずれか一つを満たす患者 a)登録前6ヶ月以内の血液検査にてBNP>100pg/ml、もしくはNTproBNP>400pg/mlを呈する患者b)登録前5年以内の心不全入院歴を有する患者。 2023年は、これらの症例の中から、運動負荷心エコー図検査と右心カテーテルを施行したNYHA2度のHFpEF患者80例を対象に、Stiff LA群とNon-Stiff LA群に分けて検討し、運動負荷エコー所見のStiff LA診断における有用性を評価した。肺静脈血流速パターンと左房ストレインの解析を行い、運動負荷中の肺静脈S/Dおよび左房リザーバーストレインにより、Stiff LAを検出できるという結果を得た。 前向き登録に関しては、2023年4月より登録を開始し、8例の症例を登録した。今後、登録症例を増やし、左房ストレインの機種間の違いや、バイオマーカー、MRIデータも含めて、解析する予定である。 前向き登録がやや遅れている理由として、当院ではHFpEF患者がもともと少ないことと、患者が高齢層であり運動負荷などができないことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
後向き登録の患者に関する、臨床背景、安静時心エコー指標、運動負荷心エコー指標の解析は終了し、学会などで発表を行った。心臓MRIに関しては、左房の遅延造影評価が定まらず、まだ解析ができていない。今後、放射線科医と再度相談の上、解析を進めていく予定である。 前向き登録に関しては、入院カンファレンス時に合致する症例をピックアップし、登録を進めているが、当院ではHFpEF患者がもともと少ないため、登録が進んでいない。CRCにも協力してもらい、入院患者のスクリーニングを行っている。また高齢者が多いため、運動負荷エコーのできる患者が限られているが、その場合もバイオマーカー採血、安静時左房ストレインの機種間差の検討など、部分的に研究を進めるようにしている。 研究分担者に、心臓MRIのエキスパート、運動負荷心エコー図検査担当医が入っており、対象症例が増えれば、検査や解析自体はスムーズに進行すると考えている。心エコー検査室とも連携を取り、研究を進めていく予定である。
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