研究課題/領域番号 |
22K08119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
花田 賢二 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90632993)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | βアレスチン / 肺動脈性肺高血圧 / 肺高血圧症 |
研究開始時の研究の概要 |
βアレスチンは、細胞膜の表面にある受容体における細胞内のシグナル伝達のメディエーターとして働き、様々な生理的、病的な役割を有している。肺動脈性肺高血圧症は進行性の肺動脈狭窄をきたす難治性の疾患で、病因も解明されていない。エンドセリンは肺動脈平滑筋細胞に作用して血管収縮、炎症、線維化、細胞増殖を引き起こすため、肺高血圧症の増悪因子のひとつと考えられている。本研究では、エンドセリン受容体におけるβアレスチンの肺動脈性肺高血圧症の病態形成における役割を検証、解明するとともに、将来的な治療薬の開発に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
野生型マウス、βアレスチン1ノックアウトマウス、βアレスチン2ノックアウトマウスに対して8週間のモノクロタリンの皮下投与により肺高血圧モデルを作製した。経時的な心エコーでは、左室壁厚や左室拡張末期径、左室内径短縮率などのパラメータには有意差を認めなかった。モノクロタリン投与後の死亡率は、βアレスチン1ノックアウトマウスにおいて野生型マウスと比較して有意な改善を認めた。また、βアレスチン1ノックアウトマウスでは、モノクロタリンの投与による肺細動脈の平滑筋層の肥厚、右室の線維化、および右室重量の増加が野生型マウスと比較して有意に軽減していた。以上より、βアレスチン1ノックアウトマウスでは、モノクロタリンの投与による肺高血圧症の病態形成に抑制的には作用している可能性が示唆された。なお、Vehicle投与群では、野生型マウスとβアレスチン1ノックアウトマウスにおける各パラメータに差は認めなかった。βアレスチン2ノックアウトマウスは十分な匹数がえられていなかったが、最近数が確保されたため、今後同様の実験をすすめる予定である。 in vitroの系では、ヒト肺動脈平滑筋細胞を用いて、βアレスチン1またはβアレスチン2のノックダウンによる効果を検証するため、現在、リポフェクションやエレクトロポレーションを含めてノックダウンのプロトコルを調整中である。プロトコルが確立次第、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定などの実験をすすめる方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoの系においては、上記のとおりマウスの実験が順調にすすんでいる。βアレスチン2ノックアウトマウスによる実験をすすめ、また組織のqPCRの解析を残りの1年で行う。in vitroの系においては、これからβアレスチンノックダウンによる効果を確認する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
モノクロタリンの投与後の野生型マウス、βアレスチン1ノックアウトマウスの肺組織および右室組織のqPCRを行い、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定を行う。また、βアレスチン2ノックアウトマウスでも同様に実験をすすめる。 in vitroの系においては、肺動脈平滑筋細胞によるβアレスチン1、βアレスチン2のノックダウンのプロトコルを確立し、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定、およびスクラッチアッセイによる細胞増殖、移動の評価を行う。
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