研究課題/領域番号 |
22K08137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
小尾 正太郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10734452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 機械的刺激 / 線維化 / 伸展張力 / 線維芽細胞 / 脱分化 / 心臓拡張不全 |
研究開始時の研究の概要 |
心臓拡張不全の予後は収縮不全と同様に悪く、生命予後を改善する治療法も十分ではない。予備的実験でタイトジャンクションであるclaudin-1(CLDN1)が伸展張力を感知して線維芽細胞を分化させた。そこで本研究では、心臓拡張不全の器質的・機能的異常に関してCLDN1の発現量の変化とリン酸化に着目して検討する。筋線維芽細胞においてCLDN1が伸展張力に応答してリン酸化する部位と線維化を制御するシグナルを解明し、新規線維化関連因子を同定する。また、マウス心臓拡張不全モデルを用いてCLDN1が心臓拡張不全の器質的・機能的異常に関与するか検証する。さらには、新規の心臓拡張不全治療法を開発する。
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研究実績の概要 |
予備的研究で機械的刺激である伸展張力が心臓由来の筋線維芽細胞を脱分化させた。また、伸展張力に応答する遺伝子のうち、心臓手術患者由来の心臓においてCol1A1とタイトジャンクションを形成するCLDN1のmRNAの発現が強く相関していた。CLDN1のノックダウン実験よりCLDN1が伸展張力に応答して筋線維芽細胞の分化を制御していることが分かった。そこで本研究では、CLDN1の下流のシグナルが筋線維芽細胞の分化を制御する機序に関して検討した。 まず、伸展張力によるCLDN1蛋白の活性化レベルを検討したところ、CLDN1蛋白のリン酸化レベルは伸展張力に応答して変化することを確認した。同時にマウス拡張不全モデルでも検討したところ、拡張不全モデルでCLDN1のリン酸化レベルは変化していた。 次に、siRNAを用いて培養筋線維芽細胞のCLDN1の発現をノックダウンして遺伝子の網羅的発現変化をRNAシークエンスで検討したところ、多くの遺伝子が変化した。GSEA(gene set enrichment analysis)によるアノテーションではリソソームのシグナルが関与していた。そこでリソソームのマーカーであるLamp2とマスター因子(転写因子)であるTFEBの蛋白発現レベルを検討すると、伸展張力によりいずれも発現が低下した。また、TFEBの転写活性に関してルシフェラーゼアッセイで検討したところ、伸展張力によりTFEBの転写活性は減少した。さらには、リソソームの質と量をフローサイトメトリーで定量すると、いずれも伸展張力により低下した。同時にリソソームの機能としてリソソーム内のpHを免疫染色で検討すると、伸展張力によりリソソーム内のpHは低下していた。 次に、CLDN1下流の結合蛋白を検討したところ、リソソーム膜で発現するTMEM9を新規に同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
線維化の機序に関して全く新しい概念を見出すことができたから。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究成果より、筋線維芽細胞は伸展張力を感知してリソソームの機能を制御していることが新たに分かった。このリソソーム制御機能としてCLDN1の関与が予想され、今後リソソームと線維化の関連を解明することにより新たな拡張不全の治療標的を同定できると期待できる。
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