研究課題/領域番号 |
22K08158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
古賀 純一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (10746142)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 動脈硬化 / プラーク不安定化 / マクロファージ / Notchシグナル / 細胞外マトリックス / Notch / ドラッグデリバリーシステム |
研究開始時の研究の概要 |
動脈硬化プラークの不安定化は心筋梗塞に代表される急性血栓性合併症の発症基盤となることが知られているが、プラーク不安定化の分子機序は未だ不明な点が多い。本研究ではNotchリガンドDelta-like ligand 1 (Dll1)が動脈硬化病変の不安定化において果たす役割を明らかにし、新規治療標的としての可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は昨年度に引き続き、動脈硬化プラーク不安定化におけるDll1の役割を検討した。ApoE欠損マウスに8週齢より高脂肪食を開始、20週齢より週2回、Dll1阻害抗体を投与した。12週の投与後、大動脈を摘出、病理組織学的評価を行った。Dll1阻害抗体投与群では対照(IgG投与)群に比べプラーク内コラーゲン含量の増加、Oil red O陽性面積の減少を認め、プラークが安定化したことが示唆された。培養マクロファージにおいてはDll1阻害によりmatrix metalloproteinase-9(MMP-9)の放出が抑制された。MMP-9放出を促進するTNFの発現はDll1機能阻害により抑制される一方、古典的Notch経路の阻害では抑制されず、非古典的Notch経路の関与が示唆された。 また、動脈硬化プラーク内においてMMP-9を放出するマクロファージの時空間的動態解析を行うため、組織透明化、蛍光免染、3D撮影の条件検討を行っている。病変内マクロファージについては可視化に成功しており今後、プラーク不安定化を惹起するマクロファージサブタイプの染色、可視化を行う。 Dll1を標的とする新規治療の可能性について検討するため同分子を標的とする核酸製剤を作製した。生体レベルでDll1の機能抑制効果を確認しており、令和6年度、動脈硬化モデルマウスにおいて本製剤の効果を検証する。Dll1機能抑制によるプラーク不安定化予防効果が確認されれば、次ステップへの移行に向けた各種試験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の目標であったプラーク不安定化におけるDll1の役割解明をin vivoレベルで行うことができた。次年度、Dll1下流の詳細な細胞内シグナル伝達機構について培養マクロファージを用いた検討をさらに進める。プラーク内マクロファージ動態解析についてはマクロファージ自体の染色は可能な状況であり、目的とするサブセットを選択的に可視化、撮影するプロトコールについてさらに検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
Dll1機能阻害によりプラーク安定化が誘導される詳細な分子メカニズムについてin vivo、in vitroの系における検討をさらに進める。特にMMPをはじめとする細胞外マトリックス分解酵素の発現調節メカニズムにおけるDll1-Notchシグナルの役割を明らかにする。また、MMPを放出するマクロファージサブセットについてプラーク内での可視化を行い、Dll1機能阻害によりそれがどのように変化するかを明らかにする。以上を通じ、Dll1を標的とする動脈硬化性疾患に対する新規治療の可能性を提唱したい。
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