研究課題/領域番号 |
22K08168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
村田 広茂 日本医科大学, 医学部, 講師 (30594014)
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研究分担者 |
清水 渉 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50399606)
相庭 武司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (40574348)
牧山 武 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (30528302)
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
加藤 浩一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70736983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 遺伝性不整脈 / バイオインフォマティクス / 全ゲノムシークエンス / エピジェネティクス / 心臓突然死 / 洞不全症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝性不整脈疾患は、比較的若年者で発症する心不全や心臓突然死に関わる疾患群である。家族性であるのに遺伝子変異が証明されず、致死的な疾患であるにもかかわらず、その診断方法と治療方針は十分に確立されていない。本研究は、近年、加速度的に進歩している、全ゲノムシークエンスを中心とした遺伝子解析技術と複数のエピジェネティクス・データベースを組み合わせてバイオインフォマティクス解析を行うことで、遺伝性不整脈疾患における、まだ明らかにされていない遺伝性と遺伝子基盤に基づいた病態メカニズムを解明し早期診断法の開発と治療法の確立に寄与することである。
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研究実績の概要 |
遺伝性不整脈疾患は、若年者の心臓突然死の原因となる致死性不整脈を発症する疾患群である。従来健康で社会に貢献する世代を突然襲う疾患であり、それにより失われる文化経済的損害は多大なものである。これを未然に予防、治療するためには疾患の遺伝子基盤に基づく発症機序を正確に同定することが非常に重要である。しかし、最も研究が進んでいるQT延長症候群で3割ほど、Brugada症候群にいたっては約8割の患者の原因遺伝子は不明である。 そこで本研究では、ターゲット領域遺伝子解析や全エクソン解析等によっても原因遺伝子、病原性バリアントを同定できなかった心臓突然死の家系を対象とし、全ゲノム解析を行っている。研究初年度は、バイオインフォマティクス解析の準備として候補変異の絞り込み用にオープンソースのワークフロー作成プログラムKNIME(https://www.knime.com/)を利用し、最新のエピジェネティクス・データベースを導入したカスタムメイドの解析パイプラインを構築した。2年目の当該年度は、全ゲノムシークエンスより平均500万個のSNPと5千個の構造バリアントを検出しバイオインフォマティクス解析を行った。一部結果として、心臓突然死の一家系で、PITX2-C4orf32遺伝子間領域に心臓突然死に関わる欠失を新たに同定した。CTCF結合部位の欠損が機能的にPITX2の発現を異常亢進させるという仮説を構築し、いくつかの国際学会で発表した。その後、フランスと日本の研究者と共同で心臓突然死・洞不全症候群の計7家系の疾患原因となっていることを明らかにした。iPS細胞を用いた解析、トランスジェニックマウスを用いた機能解析を施行し、新たな循環器症候群のメカニズムとして、その結果を原著論文として国際学会誌へ発表した。(Nat Commun 15, 3380 (2024).)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、最初の心臓突然死の家系の解析と共同研究による機能解析が終了し、その結果の論文を作成、投稿し国際雑誌に収載された。引き続き、別家系のシークエンス結果が届き、解析可能となる予定である。また、初年度はバイオインフォマティクス解析の環境構築を整える予定であったが、解析用コンピューターとメモリ等の費用コストが上がり、十分な環境構築ができなかった。当該年度にようやくメモリの増設が可能となり、さらに新たな解析が進められる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
国際学会誌へ発表した原著論文(Nat Commun 15, 3380 (2024).)の内容のうち、まだ十分解析できていない領域、PITX2の発現に関わる未解明の部分の解析を、iPS細胞を用いて進めていく予定である。また、本研究により、遺伝子間非コード領域の異常による疾患発症の可能性が明らかにされ、PITX2以外の遺伝子における疾患発症メカニズムを検索する予定である。現時点では全ゲノムシークエンス費用など研究費用が不足しているため、共同研究などを通して研究継続を予定している。
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