研究課題/領域番号 |
22K08169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
赤垣 大樹 久留米大学, 医学部, 助教 (40894598)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | IL-22 / IL-22BP / STAT3 / 心筋梗塞 / 心破裂 / 心筋リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
心筋梗塞後リモデリングのメカニズムには神経体液因子や交感神経系、炎症性サイトカインが大きく関わっている。 神経体液因子の活性化による悪循環に対してはβ遮断薬、ACE阻害薬により病態改善が見込まれるが、炎症性サイトカインの調節経路と心筋梗塞後リモデリングの関係性を示すことができれば、今後サイトカインが新たな心不全治療の標的となる可能性が考えられる。 本研究が実施されれば、従来の知見と合わせて新たな治療戦略への応用が期待され、ヒトにおける急性心筋梗塞において血清IL-22/IL-22BPが予後と関連することが示されたら、臨床応用への可能性も期待されるものと考える。
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研究実績の概要 |
急性心筋梗塞は死亡頻度の高い疾患群の一つであるが、これは主に心筋梗塞に伴い虚血に陥った心筋細胞がリモデリングを起こし、それに続く心破裂や心ポンプ機能低下に伴う心不全の発症が原因と考えられる。申請者は心筋梗塞による壊死心筋の修復は免疫細胞やサイトカインにより調節されることに着目した。インターロイキン22(IL-22)はSTAT3の活性化サイトカインであり、その作用は内因性阻害因子であるIL-22結合蛋白(IL-22BP)によって調節される。本研究の目的は心筋梗塞病態におけるIL-22、IL-22BPの役割を解明することである。 左冠動脈結紮によるマウス心筋梗塞モデルでは野生型(WT)で心筋梗塞後5-7日で約30%に心破裂を認めたのに対して、IL-22BP遺伝子欠損マウス(IL-22BPKOマウ ス)では心破裂の発生を認めなかった。また、心筋梗塞前のWT、IL-22BPKO各々の心組織をHE染色で観察したが明らかな差は認めず、心筋梗塞後のHE染色、シリ ウスレッド染色での組織観察でも両群に明らかな差は認めなかった。ウエスタンブロット分析では、心筋梗塞3日目、心筋梗塞14日目において、IL-22BPKOと比較 してWTでSTAT3活性の増強を認めた。心エコー図検査では心筋梗塞前後でWTと比較してKOでは左室駆出率が保たれており、心筋虚血の影響が少ない可能性が考えられた。現在、左心室機能と梗塞サイズに対するIL-22BP遺伝子欠失の影響を評価するためのTTC染色を進めている。今後は両群で炎症に関わる分子や破裂に影響を与えると考えられる遺伝子を比較検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL-22BPKOマウスの交配が予定通りに進まず、実験に必要な頭数が不足したことで実験の進行に支障をきたしたため。
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今後の研究の推進方策 |
IL-22BPKOマウスが心破裂を認めない要因としては虚血に強い心筋である可能性と、梗塞後の側副血行路の発達により梗塞範囲が狭い可能性が考えられる。そのため、TTC染色でArea at riskと梗塞範囲の評価を行い、アポトーシス評価のためのTUNEL染色、弾性線維の評価を行う方針としている。また、WT、KOでの血圧差や、心筋梗塞前後のECM合成代謝の評価、心エコー図検査での左室駆出率(EF)、壁厚や心拡大の評価を行うことを予定している。
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