研究課題/領域番号 |
22K08171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
富田 泰史 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00431437)
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研究分担者 |
花田 賢二 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90632993)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 冠攣縮性狭心症 / カルシウム / カルベジロール / 冠攣縮 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
冠攣縮性狭心症は冠動脈平滑筋の過剰収縮を特徴とする。その機序は、細胞内カルシウムイオン濃度上昇の亢進であり、治療としてカルシウム拮抗薬投与が確立している。しかし、カルシウム拮抗薬抵抗性の難治性冠攣縮性狭心症患者も少なからず存在し、突然死のリスクにもなっている。本研究では、冠攣縮の新しい機序としてのカルシウム感受性亢進の関与を、動物モデルならびにiPS細胞技術を用いて明らかにし、冠攣縮性狭心症の新たな機序解明ならびに治療法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
我々が臨床例に即した冠攣縮性狭心症動物モデルとして作成したヒトR257H亜型PLC-delta 1血管平滑筋過剰発現マウス(PLC-TGマウス)を用いて、β遮断薬であるカルベジロールならびにプロプラノロールを投与し、冠攣縮抑制効果を検討した。PLC-TGマウスにアゴニスト(エルゴノビン)を投与すると体表面心電図にてST上昇が観察された。カルベジロールの投与は心拍数や血圧に影響を与えることなく、冠攣縮を抑制した。一方、プロプラノロールの投与では、冠攣縮は抑制されなかった。さらに、細胞外からのカルシウムイオン流入調節に重要な役割を担っているAキナーゼアンカー蛋白(AKAP)79/150のノックアウト(AKAP-KO)マウスを用いて、同様の実験を行った。AKAP-KOマウスにアゴニスト(エルゴノビン)を投与すると体表面心電図にてST上昇が観察された。カルベジロール投与により、冠攣縮は抑制されたが、プロプラノロール投与では抑制されなかった。続いて、AKAP-KOマウスの大動脈より大動脈平滑筋細胞をExplant法にて分離培養した。得られた細胞をアセチルコリンで刺激したところ、カルシウムイオンの細胞内への流入はコントロール群とカルベジロール投与群で有意差を認めなかった。さらに、血管平滑筋の収縮に直接関与しているミオシン軽鎖のリン酸化は、カルベジロール投与により抑制されたが、プロプラノロール投与では抑制されなかった。現在、カルベジロールによるミオシン軽鎖リン酸化抑制のメカニズムを検討中である。 冠攣縮性狭心症患者3名より得られた末梢血単核球細胞を用いて、iPS細胞を作成した。核型検査を行い、染色体異常のない細胞を血管平滑筋細胞に分化誘導した。現在、血管平滑筋細胞特異的マーカーを用いて、平滑筋への細胞分化を評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載された研究計画がおおむね実行されている。動物実験により、冠攣縮におけるカルシウム感受性亢進の関与ならびにカルベジロールの冠攣縮抑制効果について、興味深い結果が得られている。さらに、冠攣縮性狭心症患者由来のiPS細胞を作成し、平滑筋への分化誘導も順調に進展しており、上記区分(2)に該当すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書の研究計画に沿った実験をすすめていく。AKAP-KOマウスならびにPLC-TGマウスで見出されたカルシウム感受性亢進を介する新しい冠攣縮のメカニズムならびにカルベジロールの冠攣縮抑制効果について、その分子機構の解明をすすめる。iPS細胞から分化誘導した平滑筋細胞を用いて、動物モデルで得られた実験結果を検証し、分子機序解明をさらに深めていく。
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