研究課題/領域番号 |
22K08174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東口 治弘 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (40436358)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 脂肪滴 / 脂肪酸代謝 / Lipin / 心筋梗塞 / 炎症 / 心機能 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全は心機能の低下により全身に必要量の血液を供給できない状態であり、慢性的なエネルギー不足状態にある。そのためエネルギー産生を増加させることが心不全治療になりうると考えられる。高脂質食は脂質代謝を活性化し、エネルギー産生量を増加させるが、一方で脂質が心毒性をもたらすとの報告もある。そこで本研究では脂肪滴産生に重要な因子リピンに注目する。これまでの研究で、リピンは脂肪酸を脂肪滴に取り込み毒性を抑制するとともに、エネルギー産生量を増加させることが示唆されている。本研究ではリピンの心臓における役割を検討する。この研究の成果がエネルギー改善による心不全治療法の確立につながることを期待している。
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研究実績の概要 |
心不全は心臓のポンプ機能の低下により全身に必要量の血液を供給できない状態であり、その際の心筋細胞では主なエネルギー産生経路が脂質代謝から糖代謝に移行する。糖代謝は脂質代謝と比較しエネルギー産生量が少ないため、不全心ではエネルギー産生量が低下しエネルギー不足がさらに心機能低下を招いている。そのためエネルギー産生量を増加させ、心筋細胞に必要量を供給することが心機能を改善する可能性がある。高脂質食は脂質代謝を再活性化させ、エネルギー産生量を増加させると報告があるが、一方で脂質が心筋細胞毒性をもたらすとの報告もある。本研究では細胞内脂肪滴産生に重要な因子であるLipin1に注目し、Lipin1が脂肪酸を脂肪滴に取り込むことで毒性を抑制するとともに、必要に応じたエネルギー産生調節を行い得るかを検討する。 今年度、Lipin1を心臓特異的に過剰発現させたマウス (TGマウス)、欠損させたマウス(KOマウス)に心筋梗塞を作成し、野生型マウスと比較した。結果、野生型マウスと比較し、TGマウスでは心機能が保持され、KOマウスでは悪化した。また心筋内脂肪滴はTGマウスで増加し、KOマウスで減少した。さらに炎症反応を検討したところ、CD45陽性白血球の心臓内への浸潤や炎症性サイトカイン発現は、TGマウスで抑制され、KOマウスで増強していた。この結果は、Lipin1が心筋内の脂肪酸代謝を維持することで心筋梗塞時の炎症を軽減し心臓リモデリングを抑制していることを示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Lipin1過剰発現マウス、Lipin1心臓特異的欠損マウスを用いた研究を順調に行え、結果も得ている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪滴からの遊離脂肪酸産生に必要な酵素ATGLを阻害して、Lipin1による脂肪滴生成と心保護効果の関係を検討する。
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