研究課題/領域番号 |
22K08190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
谷 哲矢 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90922287)
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研究分担者 |
及川 雅啓 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30457775)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 心不全 / 腫瘍 / 心筋梗塞 / 交感神経 / 免疫寛容 / 腫瘍循環器 / 心臓-腫瘍連関 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、心不全病態におけるがん進行メカニズムを腫瘍交感神経支配とPD-L1発現に着目した以下の実験により明らかとし、担がん心不全患者に有効な治療戦略を提示することである。1 心筋梗塞マウスにがん細胞移植を行い、心不全病態ががんを進行させることを示す。2 心筋梗塞は腫瘍交感神経支配とPD-L1発現を増加させ、免疫寛容をもたらすことを示す。 3 腫瘍交感神経除神経によりPD-L1発現を低下させ、腫瘍交感神経とPD-L1発現を制御していることを示す。4 担がん心筋梗塞マウスに免疫チェックポイント阻害薬を投与し、心不全合併がん治療への免疫療法の有用性を示す。
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研究実績の概要 |
心疾患と悪性腫瘍は本邦における死因の上位疾病であり、共通のリスク因子を有意している。また心不全の患者はがんの発生率が高いとの報告がある。がんと循 環器分野はOnco-cardiologyという学際領域として注目されている。 本研究の目的は心筋梗塞心不全マウスモデルを作成し、心不全ががんに与える影響について検討した。BALB/cを用いて心筋梗塞後心不全マウスを作成し、術後2 週目にBALB/c由来の乳がん細胞である4T1細胞を右第四乳腺脂肪体に移植した。腫瘍サイズは移植後3週まで測定した結果、心筋梗塞後心不全マウスで偽手術マウスと比較して有意に腫瘍が増大していた。心筋梗塞後にはNGFやBDNFといった液性因子が上昇し、交感神経のリモデリングを関与すると言われており、本実験で も心筋梗塞後心不全マウスで術後2週と5週で血清NGFが有意に上昇していることが示された。また、心筋梗塞後3日の心筋組織でNGFのmRNA上昇と蛋白発現の有意な上昇を認めた。NGFの受容体であるTRKAが腫瘍組織で発現していること確認し、心筋梗塞後心不全マウスの腫瘍細胞でのTRKAのリン酸化の亢進とその下流であるAKTのリン酸化の亢進を認めた。これらより心筋由来の血清NGFがNGF-TRKA経路を介して腫瘍増大に関与している可能性が示唆された。 免疫寛容に関与しているPD-L1やPD-1の発現については心筋や腫瘍組織での解析を進めており、交感神経リモデリングについてTH染色による免疫染色で解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋梗塞後心不全マウスにおいて、有意な腫瘍増大を認めた。心筋梗塞後心不全マウスにおいてNGFの発現が心筋梗塞近傍の心筋で増加し、血清NGF 濃度の上昇を認めた。また腫瘍組織におけるNGFの受容体であるTRKAのリン酸化の亢進を認めた。しかし、心筋梗塞後心不全マウスにおけるNGFと交感神経リモデリング、交感神経とPD-L1との関与についてと、解析が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
心筋梗塞周囲の心筋や腫瘍組織周囲でのPD-L1発現の変化や交感神経密度の変化についての評価を進めていく方針である。
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