研究課題/領域番号 |
22K08201
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清水 優樹 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (90801887)
|
研究分担者 |
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | リンパ浮腫 / 治療的リンパ管新生 / 前臨床試験 / ミトコンドリア / 2次性リンパ浮腫 / リンパ管新生療法 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫に対する対策は現在のところリンパマッサージや弾性ストッキング、スキンケアなどの理学療法が中心であり、推奨グレードが高く、有効かつ根本的治療は存在していない(リンパ浮腫診療ガイドライン)。よって、難治性リンパ浮腫に対する根本的な「新規治療法の開発」が求められているが、我々が開発を目指している「リンパ管新生療法」とは、分断されたリンパ管ネットワークを再構築して、リンパ管機能を再生させるものであり、その治療コンセプトからは根本的治療が期待できる画期的な治療法と言える。
|
研究実績の概要 |
(課題1)中型・大型動物モデルを用いた前臨床試験 2次性リンパ浮腫の臨床上の疫学や現状の治療、課題について文献を調査し、さらには、リンパ浮腫に対するリンパ管新生のトランスレーショナルリサーチ、ウサギ、ブタリンパ浮腫モデルの確立についての資料収集を行った。結果は総説として纏め、筆頭著者(責任著者兼任)として国際論文に投稿。 (課題2)マウス尾部リンパ浮腫モデルにおける治療機序解明 ADRCを用いたリンパ管新生療法の新規治療機序の解明について、in vitroの実験を行った。血管内皮細胞に対して、positive controlとしてのミトコンドリア(ホモジナイズド法により分離)を投与し、血管内皮細胞に外来ミトコンドリアが取り込まれるか、またその機序を検証する目的で、エンドサイトーシス阻害剤(マクロピノサイトーシス阻害)にて取り込みが低下するか否かを検証した。次に、血管内皮細胞にミトコンドリアを投与した際に、血管新生機能(増殖能、管腔形成能、遊走能)がそれぞれ亢進するかWST-1 proliferation assay, Matrigel tube-formation assay, Boyden chamber migration assayを用いて評価検討した。これらから、ミトコンドリアの受け取りにより、血管内皮細胞の増殖能の亢進、管腔形性能の亢進、遊走能の亢進などの血管新生促進の結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1はやや遅れているものの、課題2は新規知見が得られた為。
|
今後の研究の推進方策 |
(課題1)中型・大型動物モデルを用いた前臨床試験 ウサギ及びブタを使用して、リンパ管を分断することによりヒトの病態を模倣した2次性リンパ浮腫モデルを作成する。ウサギでは耳部に0.2mlの1%エバンスブルー色素染料の皮内注射によってリンパ管を同定ののち、リンパ管を切除する。ブタでは、リンパ節から遠位と近位の両方に排出される集合リンパ管を3cm片で切除することにより、鼠径部のリンパ管網を分断し2次性リンパ浮腫を誘導する。これらの方法により作成したリンパ浮腫モデルに対して、浮腫組織の厚みや周囲径の計測、MRIを用いたパラメータにより、リンパ浮腫の定量評価を行う。手術前、手術後1日目、及び第1、2、3、4週間後における経時的な変化を測定する。 上記リンパ浮腫モデルに対して、ウサギあるいはブタの双方それぞれより分離調整されたADRCを、リンパ浮腫近位部(リンパ管ネットワーク不全部位)に移植(1匹あたり1x108個を筋注法で10箇所程度に移植)する。なお、研究代表者らは、ウサギ及びブタからのADRC分離に関しては、既に実験手技・技術は確立済みである。 ADRC移植後のリンパ浮腫改善経過は、経時的に前述の評価項目を用いて評価し、コントロール群と比較検討する。 (課題2)マウス尾部リンパ浮腫モデルにおける治療機序解明 ADRCとLECを共培養し、ミトコンドリアトランスファー阻害剤(既報のCytochalasin Dなど)で、阻害することにより、ADRCのLECに対するリンパ管新生機能促進効果が減弱するか否かを検討する。 また、その際に、外部からのミトコンドリアの受け取りによりLEC内ではどのようなシグナルが働き、リンパ管新生効果を発揮しているのかを gene arrayを用いて網羅的に検討する。
|