研究課題/領域番号 |
22K08206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福沢 公二 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (70535856)
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研究分担者 |
江本 拓央 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80855023)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 心房細動 / 免疫細胞 / 単一細胞遺伝子発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動は日常診療で最も多く診られる不整脈です。心不全や脳梗塞の原因となり、近年は認知症との関連も報告されています。薬物療法が効果的でないことが多くカテーテルアブレーションが適応されますが、治りにくい患者さんも多くおられます。心房細動が何故発症し、持続してしまう本質的な原因が未だ不明であり、根本的な治療手段を講じることができていないことが原因と考えます。研究では心臓手術で切除された左心房組織を単一細胞遺伝子発現解析という新しい研究手法を用いて研究を行います。本研究を通じて、心房細動の本質的な原因を究明し、新たな治療法の提案につなげたいと考えています
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研究実績の概要 |
心房細動(AF)の本質的機序に、炎症や酸化ストレスの関与が報告されるが、心房組織の炎症/線維化/血栓形成に関係する免疫細胞の検討は充分でない。本研究の目的は、左心房組織に存在する免疫細胞の特徴を解析し、AFの炎症機序を解明し、新規治療ターゲットを見出すことである。そのために、左心耳切除組織を用いて、単一細胞遺伝子発現解析(single cell RNA sequence;sc-RNA Seq)を行い、マクロファージ、T細胞などに着目して遺伝子解析を行う。免疫細胞に、AFで特異的に変化する炎症・線維化などに関わる分子が存在するのかを明らかにし、新規治療法の提案につなげる。 2023年度までに得られた結果:左心耳切除術検体を使用し、単一細胞および単一核RNA-seq法を組み合わせて単一細胞解析を行い、同定された血清機能バイオマーカ候補を測定した。左心房組織の骨髄系細胞は、5つのマクロファージクラスター(TNF+, 2つのIL1B+ clusters, TREM2+, and LYVE1+ resident macrophages)、3つの単球クラスター、5つの樹状細胞クラスター、好中球、肥満細胞に分類された。Cell-Chat解析により、常在マクロファージはインスリン様成長因子1(IGF-1)のシグナルを心筋細胞に送り、単球とIL1B+マクロファージは上皮成長因子(EGF)のシグナルを線維芽細胞に送ることが明らかになった。用いた左心耳組織は、既存のコントロールサンプルよりも、常在マクロファージの割合が低い傾向があった。アンフィレグリン(AREG)は、AF群の単球とIL1B+マクロファージで最も発現が上昇した遺伝子であった。持続性AF患者の血清IGF-1値はコントロール群より低く、血清AREG値はコントロール群より高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
切除左心耳検体を用いた組織、単一細胞遺伝子発現解析、血清サンプルを用いたバイオマーカ探索を行い、上記結果を得て、学術誌に投稿した。以上から、研究は当初の計画以上に順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
上記結果を踏まえ、単球およびIL1B+マクロファージによるEGFシグナル伝達と、常在マクロファージによるIGFシグナル伝達は、心房細動の治療標的となりうると考える。また、血清中のIGF-1およびAREGレベルは、心房細動の持続化を予測する有効なバイオマーカとなり得ると考える。このことを明らかにするため、血清サンプル数を増やし、追加実験・解析を行う。さらにT細胞受容体レパトア解析を追加で行っており、心房細動炎症の中での獲得免疫の関与の意義を検討しており、論文投稿予定である。
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