研究課題/領域番号 |
22K08210
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 達也 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (40592473)
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研究分担者 |
矢野 俊之 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (40444913)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ミトコンドリア / ROS / 鉄代謝 / 心筋ミトコンドリア / 糖尿病性心筋症 / 心不全 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、糖尿病合併症としての動脈硬化性心血管疾患は克服されつつある一方、糖尿病合併心不全は、原因や病態に関わらずその予後が悪いことが未解決問題である。糖尿病では心臓を含む諸臓器で活性酸素種(ROS)が増加し、酸化ストレスが亢進する。ROSはミトコンドリア呼吸鎖複合体に作用し、電子伝達効率の低下と電子漏洩を介した更なるROSの発生を惹起させうる(ROS誘導性ROS放出)。本研究では、ROS誘導性ROS放出によるミトコンドリア機能障害が糖尿病合併心不全の予後不良の病態に関与するとの仮説を証明するため、抗酸化剤の使用によるミトコンドリア機能への影響を評価し、新規治療戦略を模索する。
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研究実績の概要 |
糖尿病合併心不全は、原因と病態に関わらず心不全の予後が悪化することが知られているが、その機序は完全に解明されていない。近年、血糖降下薬として上市されたSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の心保護効果が注目されているが、非糖尿病合併心不全に対しても同等の効果が期待できる薬剤であることが判明したため、糖尿病合併心不全と非糖尿病合併心不全の差は未だ解消されていない。糖尿病では心臓や各種臓器において活性酸素種(ROS)の産生が増加し、酸化ストレスが亢進する。ROSはミトコンドリア呼吸鎖複合体に作用し、電子伝達効率の低下と電子漏洩を介した更なるROSの発生を惹起させうる(ROS誘導性ROS放出)と仮説を立てた。 潜在的な心臓拡張不全を呈するインスリン抵抗性合併の肥満2型糖尿病ラット(OLEFT)と非糖尿病ラット(LETO)の心臓のサンプルに対して、ミトコンドリアを単離し、酸化ストレスの状態、鉄代謝、これらの制御に関わる分子の発現を評価した。OLETFの単離ミトコンドリアでは、LETOに比してROSを反映する脂質過酸化が有意に増加しており、最も反応性が高いROSであるヒドロキシラジカルの生成を触媒しうるミトコンドリアにおける有利非ヘム鉄の含有量が増加していた。細胞外フラックスアナライザーによるミトコンドリア呼吸能評価では、pyruvate-malateを基質としたADP依存性呼吸(複合体I-III-IVを介するstate 3 respiration)が有意に低下していたが、succinateを基質としたstate 3 respirationに両群で差異を認めなかった。 以上より、糖尿病合併心不全では、ミトコンドリアでの遊離鉄増加を伴い細胞障害性の高いROS(ヒロドロキシラジカル)の産生が亢進し、ミトコンドリア呼吸能、特に複合体Iを介する酸化的リン酸化に障害を惹起することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本所属講座の教授退官年であり、研究代表者の職位が変わり、担当するエフォート率に変化が生じた。また兼務する臨床業務に令和6年度から本格始動する「医師働き方改革」の導入の結果、全体のスケジュールに想定外の変化が生じ、予定していたエフォート配分に変化が生じた。更に、本プロジェクトと並行して参画している他講座・他研究機関との共同研究(各臓器の細胞株や癌細胞における治療薬、治療抵抗性とミトコンドリア呼吸への影響の解析)にかかるエフォートが増えた。以上の結果、本研究プロジェクトの進展に遅延の影響が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行するための条件や環境は改善されている。培養細胞を用いた実験系ではミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを阻害する薬剤は、活性酸素種を低減させむしろミトコンドリア呼吸予備能を増加させるなどpromisingな結果も示唆されている。最終年である本年は実験動物(OLETF/LETOおよび腎不全モデル)に対する活性酸素のmodulatorが、心筋の代謝phenotypeに与える影響を評価し、実験を確実に遂行させていきたい。
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