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動脈硬化症の病態を進行させる小胞体ストレス応答分子IRE1が担う新たな役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K08219
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53020:循環器内科学関連
研究機関金沢医科大学

研究代表者

赤井 良子  金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (60823317)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード泡沫細胞 / 高脂質 / マウスモデル / 細胞ストレス / 循環器疾患
研究開始時の研究の概要

本研究により動脈硬化症と小胞体ストレス応答の関連性が具体的な分子機能で説明できるようになれば、動脈硬化症の病態理解は大きく進み、その成果を踏まえた新たな創薬研究も発展するはずである。

研究実績の概要

研究対象である「動脈硬化症」は脂質代謝異常により引き起こされる生活習慣病の1つであり、動脈壁の肥厚が特徴である。肥厚した動脈壁ではマクロファージがリポタンパク質を多く摂取して、脂質を蓄積した泡沫細胞に変化する。泡沫化したマクロファージは移動能を失い、局所的な炎症を慢性化させることが知られている。もう一つの研究対象である「小胞体ストレス」は膜タンパク質や分泌タンパク質の合成・修飾・輸送を担う細胞小器官の小胞体に生じるストレスのことである。そのストレスの原因は一般的に小胞体内で構造的に未熟または異常なタンパク質が増加することであるが、10年ほど前からは高脂肪状態も小胞体ストレスの原因として考えられるようになってきた。そのような小胞体ストレスを感知して活性化される分子にIRE1が知られ、私たちの研究グループは以前に泡沫細胞でIRE1が活性化状態にあることを見出している。しかしながら「泡沫細胞でIRE1が何をしているか?」は謎のままで、その機能になかなか迫れておらず、現在の重要な学術的「問い」となっている。先述の通り泡沫細胞におけるIRE1の機能解析は初めの報告から10年近く進まなかったが、IRE1と相互作用する分子の網羅的探索からカギとなるFMRPを発見することができた。そこで本研究ではマクロファージおよび泡沫細胞におけるIRE1とFMRPの機能解析から長らく不明であった小胞体ストレス応答と動脈硬化症の間にある分子メカニズムに踏み込む研究を実施している。これにより本研究の目的である「動脈硬化症と小胞体ストレスを関連させる生体分子メカニズムの解明」に挑む。本研究により動脈硬化症と小胞体ストレス応答の関連性がIRE1とFMRPの具体的な分子機能で説明できるようになれば、動脈硬化症の病態理解は大きく進み、その成果を踏まえた新たな創薬研究も発展するはずである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目はFMRPのリン酸化とIRE1のキナーゼ機能に関する薬理学的および生化学的な解析を以下の通り行った。IRE1のキナーゼ活性はKIRA-6により、またRNase活性は4μ8cにより阻害されることが分かっている。そこで骨髄由来マクロファージに両薬剤をin vitroで処理したところ、FMRPのリン酸化をKIRA-6は抑制したが、4μ8cは抑制しなかった。また別のIRE1キナーゼ阻害剤であるAMG-18をマウスに投与した後に腹腔マクロファージを回収したところ、FMRPのリン酸化はコントロールに比べて抑制された。さらにIRE1抗体を用いて免疫沈降実験を行ったところ、FMRPが共免疫した。次に精製したタンパク質を用いた解析も進めた。野生型IRE1およびATP-γ-Sと反応させたFMRPはチオリン酸化されたが、キナーゼ欠損型IRE1を用いるとFMRPはチオリン酸化されなかった。これらの結果からFMRPがIRE1のキナーゼ活性を介して直接的にリン酸化されることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

さらに動脈硬化症の分子病態に迫るために次年度はIRE1活性依存的にFMRPが結合するRNAの探索を進める。FMRPが脂質代謝関連遺伝子に由来するmRNAに結合して、その活性を制御していれば大変興味深い発見となる。現時点でどのようなRNAが候補に挙がるか分からないが、動脈硬化症に対する創薬展開において重要な標的となる可能性は十分に高いと想像できる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [国際共同研究] Cedars-Sinai Medical Center(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Cedars-Sinai Medical Center(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Partial limitation of cellular functions and compensatory modulation of unfolded protein response pathways caused by double-knockout of ATF6α and ATF6β2024

    • 著者名/発表者名
      Akai R, Hamashima H, Saito M, Kohno K, Iwawaki T
    • 雑誌名

      Cell Stress Chaperones

      巻: 29 号: 1 ページ: 34-48

    • DOI

      10.1016/j.cstres.2023.11.002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ATF6β欠損マウスが示す多動表現型と横隔膜ヘルニア2023

    • 著者名/発表者名
      赤井良子、濱嶋尚代、岩脇隆夫
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ATF6αとATF6βの二重欠損が引き起こすUPR制御機構の代償的変調と細胞機能の関係2022

    • 著者名/発表者名
      赤井良子、濱嶋尚代、斉藤美知子、河野憲二、岩脇隆夫
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ATF6αとATF6βの二重欠損が引き起こすUPR制御機構の代償的変調と細胞機能の関係2022

    • 著者名/発表者名
      赤井良子、黒田絵莉子、濱嶋尚代、斉藤美知子、河野憲二、岩脇隆夫
    • 学会等名
      第16回臨床ストレス応答学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 小胞体ストレス応答のシグナル経路により制御される過食行動の分子メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      赤井良子、黒田絵莉子、濱嶋尚代、岩脇隆夫
    • 学会等名
      第69回日本実験動物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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