研究課題/領域番号 |
22K08226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
田坂 定智 弘前大学, 医学研究科, 教授 (70276244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 気管支拡張症 / 慢性下気道感染 / 間質性肺炎 / 気道細菌叢 / 細菌叢 / 形態学的特徴 |
研究開始時の研究の概要 |
気管支拡張症は慢性炎症によって気道の構造改変が起こる病態だが、患者数の増加しており、一部に治療抵抗性で予後の悪い患者群が存在することが明らかになっている。本研究では、種々の基礎疾患に伴う気管支拡張症について画像所見と細菌叢の両面からアプローチし、病態や形態学的な特徴について検討する。患者の高分解能CT画像データを専用のワークステーションで解析し、気管支拡張の形態学的特徴を明らかにする。それと並行して、下気道の細菌叢(microbiome)の解析を行い、気管支拡張症の難治化の要因である複数菌感染の出現時期や抗菌薬使用との関連について明らかにする。
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研究実績の概要 |
基礎疾患の異なる気管支拡張症について、画像データを用いて形態学的な特徴について検討を行った。慢性下気道感染の患者および間質性肺炎患者の高分解能CT(HRCT)画像データを専用のワークステーションで解析し、各病態における気管支拡張の形態学的特徴を検討した。 はじめに肺非結核性抗酸菌症(NTM)の患者13例と間質性肺炎(IP)患者14例を対象として、HRCTデータから、気管支の内径、外径、WA%(気管支面積に占める壁面積の割合)、T/D ratio(気管支平均径に対する壁厚の割合)を計測した。IPでは末梢ほど内径・外径が小さくなったが、NTMでは気管支の世代によって変動がみられた。WA%とT/Dは、IPで世代間の変動が見られたが、NTMではIPのような傾向は見られなかった。気管支内径の変動係数が同等であったのに対し、外径はNTMで変動が大きく、WA%とT/DはNTMで変動が小さかった。NTMでは、気管支内腔が広がると気道壁も厚くなり、感染に伴う気管支拡張や気道壁の浮腫が主因と考えた。一方IPでは、気管支内腔が広がると気道壁は薄くなっており、周囲組織からの牽引による変化と考えられた。 次にIP患者の初診と2回目のCTの気管支内腔面積を計測し,変化率と呼吸機能の変化や増悪・死亡との関連を後方視的に検討した。10名を対象とし、CTの気道内腔面積の変化と%肺活量(%VC)や拡散能(%DLco)の変化との関連について相関係数を算出し、5年以内の増悪・死亡との関連を評価した。患者の年齢中央値は73歳で男性が9例であった。経過中に抗線維化薬を使用した者は5例で、増悪は6例、死亡は3例でみられた。結果として、面積増加率とVC・DLco低下率に有意な相関はみられなかった。また面積変化率と増悪や死亡との間にも相関はなかった。以上の成績から、気道内腔面積の変化と予後との間には有意な関連はないと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気管支拡張症の形態学的検討については、当初予定していた検討をほぼ予定どおり終えることができた。今後はORNi-PCR法を用いた細菌叢の解析に重点を移していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
気管支拡張のある患者からの喀痰検体の収集を進めており、ORNi-PCR法を用いて有意菌DNAの増幅を抑制し、優先菌種以外の細菌学的なプロファイルを明らかにしていく。喀痰が採取できない患者については、同意が得られた者に対して気管支鏡検査を施行し、気管支洗浄液を採取する。気管支洗浄液の培養およびORNi-PCR法による解析を行い、下気道の細菌叢を評価していく。
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