研究課題/領域番号 |
22K08233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 直也 京都大学, 医学研究科, 助教 (30805817)
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研究分担者 |
佐藤 篤靖 京都大学, 医学研究科, 講師 (30706677)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | COPD / 肺気腫 / 好酸球 / 免疫応答 / イメージング / 慢性閉塞性肺疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は末梢気道の炎症・狭窄と肺胞の破壊(肺気腫)により気流閉塞をきたす。肺気腫は以前より研究されてきた小葉中心性肺気腫や頻度の割に検討不十分であった傍壁在性肺気腫などのフェノタイプに分類される。本検討ではIL-17シグナルの関わる微小環境変容と好中球炎症に着目し、「外来刺激により誘導されるIL-17と持続的な好中球活性化が肺胞破壊を惹起する」という仮説をたて、傍壁在性肺気腫における免疫学的恒常性破綻と肺の破壊様式の関連を実験動物とヒト肺組織・胸部CT画像を用いて検討する。傍壁性肺気腫の発症・進展抑制のためのターゲット同定と、病勢を反映するバイオマーカー確立を目指す。
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研究実績の概要 |
既存の肺組織バンクより、凍結切片の切り出しを行い、各種炎症細胞の肺胞、末梢気道への浸潤を定量した。結果、COPD症例の末梢気道とCOPDには至らないが肺気腫や拡散能の低下などの形態機能異常を認める非COPD症例の末梢気道の両者にて、非喫煙コントロールに比べ、有意なMBP陽性細胞の増加を認めた。IL17環境に認められる好中球浸潤の程度には差を認めなかった。さらに、該当症例の術前の胸部CTより、小葉中心性肺気腫(CLE)、傍隔壁性肺気腫(PSE)を定量し、末梢気道における好酸球性炎症や好中球性炎症との関連を現在検討している。好酸球の末梢気道浸潤と同部位のコラーゲン沈着、気道壁肥厚との関連がCLEを有するCOPDで認められた。一方、その関連はPSE主体のCOPDでは乏しくなる傾向にあった。また、PSE患者における末梢血バイオマーカーとPSE病変進展因子を臨床研究・CT画像解析において探索する、という当初の目標にむけて、京都大学呼吸器内科外来において前向きに末梢血より分離した血清と胸部CT画像を集積中である。さらに、胸部CTを用いて、視覚的にCLEとPSEを半定量し、5年間の肺機能の経年変化との関連を検討したところ、CLEはPSEに比べて、有意に大きな長期的肺拡散能の経年低下と関連することを見出し、アジア太平洋呼吸器学会(APSR2022年 ソウル)にて学会報告し、海外誌への報告を行った(Chest 2023:S0012-3692(23)00166-6)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト肺解析結果より、IL17や好中球性炎症よりも、好酸球性炎症の関与が大きいのではないか、という結果がえられたことから、当初予定していたIL-17受容体ノックアウトマウスに対する喫煙暴露実験については現在中断している。しかし、ヒト肺組織を用いた解析と肺気腫のより高精度の解析、バイオマーカー同定にむけた臨床研究、画像解析については論文発表などにつなげることができており、総合的には進捗状況はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
PSE関連の末梢血バイオマーカーと病変進展因子の探索のため、さらに症例を集積し、解析を開始する。より有効なPSE, CLEの画像解析手法をトポロジーなどの数理的アプローチや深層学習を用いて確立することを試みる。当初予定していたL-17シグナルの関わる微小環境変容に加えて、好酸球性炎症と関連する微小環境が2型肺胞上皮機能や肺気腫フェノタイプに与える影響を胸部CT画像により形態変化が明確に定義されたヒト肺の組織を用いてさらに詳細に解析する。実験動物を用いた喫煙暴露実験での検証の準備を行う。
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