研究課題/領域番号 |
22K08234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
千葉 弘文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40347175)
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研究分担者 |
齋藤 充史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00768939)
黒沼 幸治 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (40563250)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 特発性肺線維症 / マイクロバイオーム / 自然免疫 / 急性増悪 / 肺サーファクタント蛋白質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、IPF患者の肺内細菌叢が病原体の構成成分により自然免疫担応答に影響し、産生されるサイトカインやケモカインが、線維化の進行および急性増悪の原因になるという仮説に基づき、その仮説を検証し新たな治療法を探索することである。 申請者がこれまで継続してきた肺の自然免疫機構に関する研究を基盤として、肺マイクロバイオームとの関連を考察する中で、IPF患者の肺内細菌叢の変化に対する自然免疫応答が病態に重要な役割を担うと考えた。本研究によって、プロバイオティクスによる細菌叢の正常化、肺サーファクタント蛋白質の自然免疫に対する調節機能を利用した治療など、新しい治療法の開発が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、1) 肺マイクロバイオームのディスバイオシス、2) 自然免疫応答異常、3) 線維芽細胞の遊走・増殖、これらの病態を結びつけるIPFの新たな病態仮説の検証を目標としている。 IPF患者のBALFを用いたマイクロバイオーム解析と患者特徴や予後との関連の検討。肺線維症モデルマウスを用いたマイクロバイオームの検討。肺線維症モデルマウスから単離したマクロファージ等を用い、PAMPsに対する反応変化等のvitroでの解析。肺内自然免疫に重要な役割を担うSP-Aノックアウトマウスでのマイクロバイオーム解析等を計画している。 これまでの進捗状況として、IPF患者のBALF中のDNAを抽出し、細菌の16S rRNAを増幅・精製し、Ion Torrentのプラットフォームを用いて、菌種の同定を行った。結果、線維化の進行(呼吸機能検査でFVCの有意な低下)および急性増悪を含む早期死亡した患者の肺マイクロバイオームの特徴として、Firmicutes門、なかでもStreptococcaceae科の増加がみられる症例でFVCの低下、すなわち疾患の進行が認められ、早期死亡群では、マイクロバイオームの多様性の低下が示された。 我々は、線維症モデルを作成し、肺マイクロバイオームの解析を行った。結果、正常なマウスと比較して、マイクロバイオームの多様性が失われ、フィルミクテス門の増殖とプロティオバクテリア門の減少という、IPF患者と極めて近似したディスバイオシスが起きていることを確認した。その後、肺内の自然免疫において重要な役割を担う、SP-Aをノックアウトしたマウスでは、野生種と比べマイクロバイオームに変容が生じることが分かった。さらに詳細を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IPF患者のBALF解析および肺線維症マウスモデルの作成、SP-Aノックアウトマウスのマイクロバイオーム検討は順調に進んでいる。 肺線維症モデル肺胞マクロファージを単離し、PAMPsで刺激し活性化の検討する実験では、正常マウスとの有意な違いが認められていない。実験系の再検討、および代替実験が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
肺線維症モデルマウスから単離したマクロファージを用いたvitro実験について、実験方法の検討及び修正を加え、1) 肺マイクロバイオームのディスバイオシス、2) 自然免疫応答異常、3) 線維芽細胞の遊走・増殖を結びつけるIPFの新たな病態仮説の検証を継続する。
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