研究課題/領域番号 |
22K08236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北村 知嵩 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00882044)
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研究分担者 |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50343421)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肺オルガノイド / 脱細胞化 / 細胞外マトリックス / 胚性幹細胞 / 3次元培養 / 幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
各種臓器由来の細胞外マトリックス(生体由来の材料)を用いた臓器再生が試みられており、呼吸器領域での報告も散見される。また、臓器の発生段階で様々な成長因子等を分泌する細胞を器官再生・成長に利用することは、自然な臓器発生・臓器形成を模倣できると考えられる。そこで我々は、これらを組み合わせたコンポジットマテリアルにより、様々な細胞に分化できる多能性幹細胞を用いて肺機能を有する肺オルガノイドの創出・機能解析を目指す。
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研究実績の概要 |
各種臓器において、脱細胞化後の細胞外マトリックス(extracellular matrix:EM)を利用することで臓器を再生させる試みが行われている。呼吸器領域においても例外ではないが、EMを分化誘導因子に用いた研究は極めて少ない。そこで、本研究では、肺由来脱細胞化マトリックス(LEM)を用いて多能性幹細胞(ES細胞)を3次元培養することで、肺特異的な分化誘導を試み、創出される肺オルガノイドの解析を行うことを目的とした。 成獣動物(マウス)の肺をSDS処理することでLEMを調整後、更にシート状に加工したLEM-Sheetを作成した。LEMおよびLEM-Sheetは、凍結切片作成後、H&E染色等により評価した。更に、厚みの異なるLEM-Sheetを用いて多能性幹細胞(マウスES細胞)の3次元培養を行った。その結果、シート厚は、ES細胞の生着や細胞増殖に影響することが明らかとなった。分化誘導した肺オルガノイドにおいて、各種肺細胞関連マーカー(1型肺胞上皮細胞:AQP5、2型肺胞上皮細胞:SPC、クラブ細胞:CC10など)の遺伝子発現を解析した結果、LEM-Sheetは各種マーカーを誘導亢進させた。加えて、免疫染色による評価では、各種肺細胞マーカーを発現する細胞の増加を認めた。 今後、LEM-Sheetを用いた分化誘導後のオルガノイド解析を継続し、新たな生体材料(マウス胎児由来未成熟肺細胞など)を利用して更なる分化誘導の条件検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、肺由来脱細胞化マトリックス(LEM)を用いた多能性幹細胞(マウスES細胞)の3次元培養を行い、遺伝子発現解析および免疫染色による組織学的解析により、LEMは肺細胞への分化誘導に効果的であることが示されたため。
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今後の研究の推進方策 |
LEM-Sheetを用いることで各種肺細胞への効率的分化誘導を認めたことから、更なる素材加工(ゲル化)により、3次元培養を行う予定である。また、マウス胎児より未成熟肺細胞を調製し、LEMを用いてES細胞と共培養することで、更なる肺細胞への効率的分化誘導とオルガノイドの創出を検討する。遺伝子発現と細胞免疫染色を用いて各種肺細胞マーカーを解析する。更に、電子顕微鏡による肺微細構造解析により立体構造と機能を兼ね備えた肺オルガノイドの創出を検証することで、肺の再生・発生に寄与する基礎的データを構築する予定である。
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