研究課題/領域番号 |
22K08238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
大野 勲 東北医科薬科大学, 医学部, 特任教授 (00250762)
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研究分担者 |
宮坂 智充 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50709912)
川上 和義 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (10253973)
曽良 一郎 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (40322713)
中村 豊 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (60328614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 気管支喘息 / 精神的ストレス / μオピオイド受容体 / 一塩基多型 / Th2型免疫応答 / 樹状細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ミューオピオイド受容体遺伝子の主要な一塩基多型[OPRM1 A118G (rs1799971)](マウスでは、Oprm1 A112G)の遺伝型による喘息反応増悪機序の責任細胞を明らかにするために、T細胞と樹状細胞に焦点をあて検討を行う。各T細胞サブセットや各樹状細胞サブセットの機能(表面分子発現、サイトカイン産生量や細胞分化誘導能等)に与えるミューオピオイオド受容体遺伝子一塩基多型の影響を解析する。次に、細胞内ミューオピオイドシグナルがTh2細胞分化に与える影響の解析、ならびに多型を有する細胞の移入実験による病態解析を実施する。
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研究実績の概要 |
気管支喘息は、好酸球や肥満細胞などの集積と活性化を特徴とする慢性炎症性気道疾患であり、Th2サイトカイン優位のアレルギー免疫応答により誘導される。環境要因のひとつである精神的ストレスは、喘息免疫応答の悪化因子であることが報告されている。申請者らはこれまでに、精神的ストレスによる喘息免疫応答の悪化にはμオピオイド受容体が関与しており、μオピオイド受容体遺伝子(OPRM1)rs1799971の遺伝子型がGGを有する患者はAAおよびAGを有する患者に比べて気道過敏性が亢進していることを報告した。昨年度までの臨床研究および基礎研究から、遺伝子型GGはTh2型免疫応答を亢進させる多型である可能性が明らかとなった。加えて、T細胞上に発現するμオピオイド受容体の多型の違いのみでは、In vivoで観察されたTh2型免疫応答の亢進は観察されないことが明らかになった事から、本年度は、樹状細胞に焦点を絞り解析を行った。OPRM1 rs1799971の遺伝子型に相当するOprm1A112Gマウスを用いて卵白アルブミン誘導喘息マウスモデルを作製し解析を行った。Oprm1 G112マウスの肺ではOprm1 A112マウスと比べてCCR7発現CD11b+樹状細胞数ならびにCD103+樹状細胞が増加していた。同様に、気管支リンパ節ではCD86またはCD80を発現した樹状細胞数がG112マウスにおいて増加していた。一方、樹状細胞の集積や活性化に関与する肺内ケモカイン産生量や肺内神経内分泌物質産生量はA112マウスとG112マウスの間に有意な差は認められず、気管支リンパ節において樹状細胞の誘引に関与するケモカイン産生量もA112マウスとG112マウスの間に有意な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従って、μオピオイド受容体一塩基多型マウス(Oprm1G112)における喘息病態悪化の責任細胞が樹状細胞である可能性について解析を行うことが出来た。Oprm1G112マウスの肺および気管支リンパ節において樹状細胞数が増加し、加えてそれらの活性化が亢進している可能性を示唆する結果を得ることが出来た。本年度得られた結果を基に次年度はさらにμオピオイド受容体遺伝子一塩基多型による樹状細胞活性化機序の分子メカニズムについて解析を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って、次年度はOprm1遺伝子一塩基多型が樹状細胞機能に与える影響についてさらに解析を行っていく予定である。具体的には、本年度十分に解析を行うことが出来なかった項目(遊走能、貪食能、Th2細胞分化誘導能など)を解析する予定である。加えて、骨髄細胞より樹状細胞を作成し、Oprm1遺伝子一塩基多型が樹状細胞の細胞内シグナル伝達におよぼす影響を解析し、分子生物学的視点から細胞機能の変化誘導メカニズムを解明する予定である。
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