研究課題/領域番号 |
22K08240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加畑 宏樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60528537)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ILC2 / 活性化機構 / ANXA1 / MT2A / 亜鉛 / シングルセル解析 / IL-5 / IL-13 / TSLP / IL-4 |
研究開始時の研究の概要 |
ILC2の多様性を詳細に解析することにより、ILC2の有益な機能は温存しつつ、過剰な活性化や2型サイトカインを産生するILC2のみを抑制するような理想的な抑制因子が同定できる可能性がある。このような高病原性のILC2を特異的に抑制する因子は、気管支喘息やアレルギー疾患に対するより優れた治療ターゲットになると考えられる。
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研究実績の概要 |
2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cell, ILC2)は、IL-33やIL-25などの上皮細胞由来サイトカインの刺激によって多量の2型サイトカイン(IL-5、IL-13など)を産生するリンパ球であり、気管支喘息やアレルギー疾患の病態に関与していると考えられている。 本研究では、ヒトILC2の多様性に着目し、2型サイトカインを多量に産生する高病原性 ILC2の特徴をSingle cell解析技術によって明らかにし、高病原性ILC2を特異的に制御する遺伝子を同定し、新しい治療ターゲットを創出することで、気管支喘息やアレルギー疾患のより良い治療につなげることが目的である。 今年度は高病原性ILC2と非活性化ILC2に特徴的な遺伝子を検索し、非活性化ILC2に特徴的な遺伝子としてANXA1を同定した。ANXA1はAnnexin A1をコードする遺伝子で、非活性化ILC2に高発現しているが、活性化するにしたがって発現が低下することが判明し、非活性化ILC2の新規マーカー遺伝子となることが明らかとなった。さらに、我々はレンチウイルスベクターを用いてヒトILC2の遺伝子発現を制御する新しい実験プロトコールを確立し、ANXA1の発現を亢進させることでILC2の活性化が抑制されることや、逆にANXA1の発現を低下させることでILC2の活性化が促進されることを証明した。さらに、ANXA1がILC2の活性化を制御する機序として、メタロチオネインという亜鉛供与タンパク質の発現を調整していることが判明し、特にメタロチオネイン2A(MT2A)によって細胞内亜鉛濃度が上昇することがILC2の活性化に必要不可欠であることを明らかにし、Cell Reports誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの実験、解析が進んでいるため
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今後の研究の推進方策 |
今回、ILC2の活性化機序として新しくANXA1/MT2A亜鉛の経路が重要であることが明らかとなった。高病原性ILC2のRNA-seqのデータではMT2Aが高発現していることが判明し、新規治療ターゲットとなるかさらなる解析を進めていく。
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