研究課題/領域番号 |
22K08241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
加藤 元康 順天堂大学, 医学部, 助教 (70750313)
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研究分担者 |
十合 晋作 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80365634)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アリシン / 肺線維症 / 特発性肺線維症 / 硫化アリル |
研究開始時の研究の概要 |
特発性肺線維症(IPF)に使用される抗線維化薬は、消化器毒性の発症率が高いわりに線維化の進行速度を遅くする程度の限定的な効果である。そのためより有効で低毒性の薬剤の実用化が待たれる。 申請者はニンニク等に含まれる「アリシン」に着目し、ブレオマイシン(BLM)肺線維症モデルマウスにアリシンを投与したところ炎症と線維化が抑制され、アリシンが新規抗線維化薬になる新たな可能性を見いだした。 本研究では、IPF患者由来の肺線維芽細胞を用いた独自の線維化評価方法である機能活性解析 、及びBLM肺線維症マウスモデルを用いてアリシンが肺線維化の抑制機序の解明、および実用化を目指す。
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研究実績の概要 |
特発性肺線維症は慢性的に肺の線維化が進行する予後不良な疾患である。またその他の間質性肺炎も進行すると線維化を生じることから、線維化進行を抑制することが肺線維症、間質性肺炎の疾患克服につながる。現在上市されている抗線維化薬は線維化の進行を抑制する程度で改善することは期待できず、かつ消化器毒性が強く、発生頻度も50%を超えるとされ、既存の薬剤よりも低毒性で更なる有効性がある薬剤の登場が期待されている。 我々は硫化アリル系化合物であるアリシンに着目し、他疾患での抗炎症効果や抗酸化作用による疾患改善効果が報告されているものの呼吸器疾患、とくに肺線維症や急性肺障害への有効性の報告がなされていないことから、アリシンの肺線維化、肺障害の抑制効果を検証することとした。 我々はすでに肺線維症のモデルとして、in vitroでは肺線維芽細胞をTGFβ1で刺激し、遊走能やゲル収縮能、および細胞外マトリクスの発現に対する有効性を確認するモデルを確立しており、さらにin vivoモデルとしてブレオマイシンをマウスに気管内投与して線維化や肺障害を生じるモデルも確立しているため、今回もこれらの系を用いて検討を行った。 アリシンはin vitroでは肺線維芽細胞株におけるTGFβ誘導性の3Dゲル収縮能、遊走能、ファイブロネクチンやαSMAの発現及びSmad3リン酸化を有意に改善、またその機序において、アリシンによるAMPKの活性化が関わっていることを確認した。さらにin vivoにおいてもブレオマイシン誘導性肺線維症モデルマウスにおける肺線維化、さらにはブレオマイシン誘導性の肺障害を有意に抑制した。 以上よりアリシンが肺線維症および肺障害の治療に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにin vitro実験に関しては順調に研究が進んでいる。ある程度の線維化抑制メカニズムの検証まで行えている。 in vivo実験に関しては現在マウス肺標本のPhospho SMAD3やAMPKの免疫組織染色について検討を行っているが、染色の抗体の条件などで難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に関してはin vivo実験を中心に、メカニズムの解析を行う。 なお当初の計画で検討された臨床試験であるが、アリシンはサプリメントとしては存在するものの、胃腸障害が高頻度で見られることがわかってきている。in vivoで線維化を抑制できることが判明した投与量のヒトでの投与量を換算し、消化器毒性が出現する可能性なども併せて検証を行う。
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