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肺高血圧症に対するCARS2遺伝子治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K08261
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53030:呼吸器内科学関連
研究機関琉球大学

研究代表者

筒井 正人  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70309962)

研究分担者 伊波 幸紀  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10880734)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード活性硫黄 / 活性硫黄合成酵素 / 遺伝子治療 / 肺高血圧 / 脳腫瘍 / 細胞増殖 / ヒト / 呼吸器疾患 / マウス
研究開始時の研究の概要

本研究では、(1)肺高血圧症患者の肺組織から作製したヒト肺動脈平滑筋培養細胞、および(2)進行性の重度の肺高血圧症の病態を示す慢性低酸素暴露一酸化窒素合成酵素(NOSs)完全欠損マウス(triple n/i/eNOSs-/-マウス)を用いて、in vitroおよびin vivoでのシステインtransfer RNA合成酵素(CARS)2遺伝導入の作用を検討し、肺高血圧症に対するCARS2遺伝治療法の確立を目指す。

研究実績の概要

近年、システインパースルフィド(CysSSH)をはじめとする活性硫黄分子種が生体内で大量に合成され、強力な抗酸化活性やレドックスシグナル制御活性を発揮していることが明らかにされた。さらに、タンパク質翻訳酵素の一つであるシステインtransfer RNA合成酵素(CARS)が、活性硫黄分子種の合成酵素であることが発見された。しかし、CARS遺伝子導入の作用はこれまで全く報告されていない。
本研究では、肺移植手術時に摘出された肺高血圧症患者の肺組織から作製したヒト肺動脈平滑筋培養細胞、および進行性の重度の肺高血圧症の病態を示す慢性低酸素暴露一酸化窒素合成酵素(NOSs)完全欠損マウス(triple n/i/eNOSs-/-マウス)を用いて、in vitroおよびin vivo CARS2遺伝導入の作用を検討し、肺高血圧症に対するCARS2遺伝子治療法の確立を目指すことを当初の目的とした。
最初に、ヒト肺動脈平滑筋培養細胞を用いて研究を行った。CARS2遺伝子を組み込んだadeno-associated virus (AAV)ベクターと遺伝子を組み込まないempty AAVベクターを作製し、ヒト肺動脈平滑筋培養細胞の細胞増殖に対するCARS2遺伝子導入の作用を検討した。その結果、empty AAVベクターの遺伝子導入と比較して、CARS2 AAVベクターの遺伝子導入は細胞増殖を抑制する予備的結果が得られた。しかしながら、その抑制作用は20%程度と弱かった。一方、ヒト悪性脳腫瘍である膠芽腫に由来する培養細胞を用いて同様の検討を行ったところ、empty遺伝子導入に比してCARS2遺伝子導入において30%以上の抑制作用が認められた。そこで現在は、研究計画を一部変更して、ヒト膠芽腫培養細胞を用いてCARS2遺伝子導入の細胞増殖抑制作用を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

まず最初に、コントロールベクターとして緑色蛍光タンパク質(eGFP)遺伝子を組み込んだアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作製して実験を行ったところ、予想外にヒト肺動脈平滑筋培養細胞において細胞増殖抑制作用が認められた。次に、遺伝子を組み込まないempty AAVベクターを作製して実験を行った。その結果、empty AAVベクターにおいても同様の細胞増殖抑制作用が認められた。これらの結果から、AAVベクター自身がMOI(multiplicity of infection)が高くなると細胞毒性を示し、細胞増殖を抑制することが示唆された。このことを明らかにするのに時間を要した。
また、本研究で使用したヒト肺動脈平滑筋培養細胞の細胞増殖は、継代を重ねると細胞増殖が止まってしまった。ヒト肺動脈平滑筋培養細胞は、重症肺高血圧患者が肺移植手術を受けた時に摘出された肺組織から作製されたものだが、由来する患者によって細胞増殖のスピードが大きく異なっていた。そのため、異なる患者に由来するヒト肺動脈平滑筋培養細胞の細胞増殖を同じプロトコールで検討した時、エンドポイントにおける細胞のconfluencyが大きく異なり、結果にばらつきが出た。このことも時間を要した一因であった。
加えて、タイムコースやMOI依存性を検討して至適な実験条件を見つけることを試みたが、最終的にempty遺伝子導入と比較したCARS2遺伝子導入の細胞増殖抑制作用は20%程度と弱いという結論を得るのに時間を要した。一方、ヒト膠芽腫培養細胞を用いて同様の検討を行ったところ、empty遺伝子導入に比してCARS2遺伝子導入において30%以上の抑制作用が認められた。そこで現在は、研究計画を一部変更して、ヒト膠芽腫培養細胞を用いてCARS2遺伝子導入の細胞増殖抑制作用を検討している。このような理由から、本研究の進捗はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

上述したように、現在は、研究計画を一部変更して、ヒト膠芽腫培養細胞を用いてCARS2遺伝子導入の細胞増殖抑制作用を検討している。今後は、以下の実験を計画している。(1)CARS2遺伝子導入のタイムコースとMOI依存性を検討する。(2)eGFP AAVベクターを用いた遺伝子導入後の緑色蛍光を検討し遺伝子導入の成功を確認する。(3)CARS2のreal time PCRを行いCARS2遺伝子導入によるCARS2 mRNAの強制発現を確認する。(4)CARS2強制発発現により活性硫黄が増加しているかどうかを質量分析解析(LC-MS/MS)で検討する。(5)CARS2遺伝子導入が細胞増殖サイクルのどこを抑制しているのかをフローサイトメトリーで検討する。(6)細胞増殖抑制作用の分子機序をCAGE sequencingで検討する。(7)CAGE sequencingで見出された遺伝子の関与を遺伝子組換え変異体を用いた実験で検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Alleviated cerebral infarction in male mice lacking all nitric oxide synthase isoforms after middle cerebral artery occlusion2023

    • 著者名/発表者名
      Kubota Haruaki、Tsutsui Masato、Kuniyoshi Kanako、Yamashita Hirotaka、Shimokawa Hiroaki、Sugahara Kazuhiro、Kakinohana Manabu
    • 雑誌名

      Journal of Anesthesia

      巻: 38 号: 1 ページ: 44-56

    • DOI

      10.1007/s00540-023-03271-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of sulfides and persulfides is not impeded by disruption of three canonical enzymes in sulfur metabolism2023

    • 著者名/発表者名
      Zainol Abidin Qamarul Hafiz、Ida Tomoaki、Morita Masanobu、Matsunaga Tetsuro、Nishimura Akira、Jung Minkyung、Hassan Naim、Takata Tsuyoshi、Ishii Isao、Kruger Warren、Wang Rui、Motohashi Hozumi、Tsutsui Masato、Akaike Takaaki
    • 雑誌名

      Antioxidants

      巻: 12 号: 4 ページ: 868-868

    • DOI

      10.3390/antiox12040868

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Oral allergy induction through skin exposure to previously tolerated food antigens in murine models2023

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Hirotaka、Matsuhara Hiroki、Tanaka Hiroyuki、Inagaki Naoki、Tsutsui Masato
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 152 号: 2 ページ: 76-85

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2023.03.003

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of pine nodule extract, Sho-ko-sen, on mental stress-induced changes in the autonomic nervous balance in young students2023

    • 著者名/発表者名
      Yanagihara N, Takada M, Ariyoshi H, Satoh N, Horishita T, Shao H, Tsutsui M, Kita T, Azuma K
    • 雑誌名

      Current Topics in Pharmacology

      巻: 27 ページ: 47-53

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 生体の様々な疾患における一酸化窒素合成酵素系の多彩な作用2023

    • 著者名/発表者名
      筒井正人
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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