研究課題/領域番号 |
22K08272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
矢寺 和博 産業医科大学, 医学部, 教授 (40341515)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 慢性下気道感染症 / 非結核性抗酸菌症 / 気管支拡張症 / 細菌叢解析法 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性下気道感染症は、非結核性抗酸菌、一般細菌や真菌等が関与する気管支拡張症を呈する難治性で慢性進行性の疾患であり、増悪における菌側、宿主側因子の解明が有効な治療法の開発には必須かつ急務である。肺病巣部から直接採取した気管支肺胞洗浄液を用いた細菌叢解析による一般細菌や抗酸菌のプロファイル(菌側因子)と、同一検体内の各免疫担当細胞の表面マーカーや遺伝子発現のプロファイル解析(宿主側因子)とを同時に解析し、肺病変の画像所見の経時的変化を指標として肺病態進行の正確な機序を解明する。本研究で得られる新たな機序的知見から、新規の治療戦略を提案し、臨床効果を確認することにより新たな有効な治療法を確立する。
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研究実績の概要 |
2023年度は非結核性抗酸菌症を疑う慢性下気道感染症患者に対して、クローンライブラリー法を用いたSanger法による細菌叢解析を引き続き、行った。対象患者の病変部の気管支肺胞洗浄液を用いて、16S ribosomal RNA遺伝子におけるV3-V5の超可変領域をターゲットとするE341F-E907Rをプライマーとした解析だけでなく、抗酸菌特異的な可変領域をターゲットとするプライマーを用いた解析を行うことで非結核性抗酸菌の検出の精度を上げた。この手法を用いることで、慢性下気道感染症患者の下気道細菌叢、及び抗酸菌感染の有無、複数抗酸菌種の混合感染の有無を調査した。本手法では、複数菌種を同時に評価できる利点に加えて、通常は抗酸菌の菌種同定を行う場合だと菌が培養されるまで数週間かかりその後も同定を行うまでにさらなる時間を要するが、本手法だと検体採取後数日間で菌種の推定を行うことが可能となる利点がある。 上記手法による慢性下気道感染症患者の病変部の気管支肺胞洗浄液の細菌叢解析、及び臨床所見との比較を行った結果、非結核性抗酸菌が検出された群の方が検出されなかった群に比較して、細菌叢における嫌気性菌の占める割合(特にPrevotella属の占める割合)が高値となる事を確認する事ができている。また、非結核性抗酸菌が複数菌種検出される症例が一定数存在する事を確認出来ており、この非結核性抗酸菌が複数菌種検出される症例と単一菌種のみが検出される症例とにおいて画像所見、臨床症状の差異について比較すると、複数抗酸菌種が検出された群において臨床症状の改善が乏しく、画像所見が悪化しやすい傾向にある事を確認出来ている。また、非結核性抗酸菌を複数菌種検出された症例の一部では抗酸菌培養を延長する事で複数菌種の非結核性抗酸菌の菌株を同時に確認出来て いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規の慢性下気道感染症症例について症例収集、解析を行う事が出来ており、概ね目標登録症例数の症例登録が出来た。 登録患者の観察期間が2年間であり、漏れが無いように引き続き臨床データを登録する。
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今後の研究の推進方策 |
概ね、目標症例登録数の症例を収集出来ている。今後は、登録済みの症例の病態増悪時における肺内細菌叢の変化を調査・解析する事を目標に、登録済み症例の治療、経過観察を継続していく。 また、既にクローンライブラリー法を用いたSanger法による細菌叢解析を完了している症例の内、非結核性抗酸菌が検出されなかった症例においても、追加で次世代シークエンサーを用いて病巣部気管支肺胞洗浄液の細菌叢を解析し、非結核性抗酸菌が検出されないかを確認する。
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