研究課題/領域番号 |
22K08277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 朗 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90591412)
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研究分担者 |
漆山 博和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20725303)
堀江 真史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60732659)
鹿毛 秀宣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80513390)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 線維芽細胞 / マクロファージ / 気管支上皮細胞 / 肺胞上皮細胞 / 初代培養 / RNAシーケンス / 肺線維症 / トランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
難治性呼吸器疾患である間質性肺炎・肺線維症の病態は多彩であり、その分子メカニズムは複雑である。本研究では炎症や線維化の疾患プロセスにおいて主体的な役割を担う、マクロファージおよび線維芽細胞に着目し、その細胞形質の特徴や活性化シグナルを解析する。組織内の局在や病変の程度による多様性を明らかにし、炎症や線維化の程度に応じた細胞間相互作用の違いについて理解を深める。網羅的遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)、単一細胞レベルの解析、免疫組織染色やRNA in situ hybridizationなどの手法を活用することで、間質性肺炎・肺線維症の分子病態を詳細に解明する。
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研究実績の概要 |
難治性呼吸器疾患に対する肺移植や、肺癌に対する外科治療を受けた患者由来の切除肺組織の解析を進めている。研究倫理審査の承認を得て、呼吸器外科および病理部の協力のもと、大学院生を中心として臨床検体の収集・保管・解析が進められている。切除肺組織から初代培養線維芽細胞を樹立し、線維化病変と細胞形質の対応について検討している。 技術的な課題がありマクロファージの初代培養については実現していないが、気管支や肺胞に由来する上皮細胞の培養については最新技術が導入され、初代培養細胞の樹立・継代培養・保管が進んでいる。 網羅的遺伝子発現解析を通じ、線維化と関連して線維芽細胞で発現が上昇する複数の分子を同定し、細胞増殖・運動性・コラーゲン産生・細胞外基質の収縮・液性因子に対する応答性などを指標として機能解析を進めている。肺組織における発現の局在や発現レベルについては、免疫組織化学染色やRNA in situ hybridizationを用いて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
患者由来の切除肺組織に由来する線維芽細胞・上皮細胞の初代培養については手法が確立されて細胞のストックが進んでいる。しかし間質マクロファージや肺胞マクロファージの単離については実験が進んでいない。樹立した細胞を用いた機能解析として、線維芽細胞とマクロファージの共培養システムを計画していたが、実現には到っていない。 bulk RNA-seq解析については複数の細胞タイプや複数の患者検体を対象として実施しているが、single-cell RNA-seq解析は細胞調整の段階での条件検討が進まなかったこと、想定以上にコスト面での課題に直面したことから実施できていない。したがって公共データの再解析を組み合わせて検討する方針に転換し、複数のデータセットの解析を通じて、線維芽細胞のサブタイプの同定、線維化に関連する分子の発現パターンの特徴を捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
肺線維化におけるマクロファージの関与については、ブレオマイシン誘導性の肺線維症マウスモデルを活用し、マクロファージの遊走を抑制する新規薬剤の効果を検討している。線維芽細胞とマクロファージの相互作用を明らかにするため、このような実験モデルを活用し、肺組織における線維芽細胞の増生・活性化などを評価する。single-cell RNA-seqの公共データの再解析を通じて、各々の細胞の相互作用に関わるシグナル経路を推定する。機能的に重要と思われる分子を選定し、さらに肺組織(線維芽細胞とマクロファージ)における発現の分布を調べ、各々の細胞の近接性とも関連付けて評価する。
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