研究課題/領域番号 |
22K08281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) (2023) 京都大学 (2022) |
研究代表者 |
谷澤 公伸 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究員 (20639140)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 特発性肺線維症 / 進行性線維化を伴う間質性肺疾患 / 家族性肺線維症 / サルコイドーシス / 間質性肺疾患 / 特発性肺繊維症 / ゲノム解析 / 画像解析 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
進行性線維化を伴う間質性肺疾患progressive fibrosing interstitial lung disease(PF-ILD)は、特発性肺線維症以外の種々の間質性肺疾患に見られる、難治性のフェノタイプである。フェノタイプの中核をなす進行性線維化の臨床像や病態は未解明であり、有効な治療法も確立されていない。本研究は、肺移植症例を含む多施設コホートを用いて、進行性線維化に伴う画像変化を定量的に解析するとともに、網羅的な遺伝子解析を通じて、PF-ILDの遺伝的な背景を解明する。患者検体のオミックス解析を通じて、PF-ILD に特異的なバイオマーカーを同定し、治療標的を探索する。
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研究実績の概要 |
1. 家族性肺線維症は、線維性間質性肺疾患において、第2度近親second-degree relative以内の血族に、何らかの線維性間質性肺疾患を有する症例と定義される。線維性間質性肺疾患の病型は問わず、同一血族内で異なる病型を示すこともしばしば見られる。家族性肺線維症は、IPFのほか、IPF以外のあらゆる線維性間質性肺疾患で見られ、PF-ILDを生じうる。京都大学病院から脳死肺移植登録された、線維性間質性肺疾患260例を対象に、家族性肺線維症の頻度、移植待機予後との関連を解析した。IPFまたはPF-ILDと考えられる260例のうち、49例(18.9%)が家族性肺線維症であった。家族性肺線維症49例のうち、23例が分類不能型、18例がIPFであった。家族性肺線維症は、%DLCO低値とは独立した予後不良因子であることを明らかにした。 2. 京都大学病院において、家族性肺線維症5例を前向きに登録し、臨床情報、画像、病理所見、遺伝子解析を含むオミックス解析用の血液検体を集積した。すでに多施設共同前向きコホート研究のプラットフォームは構築されており、現在、PF-ILD症例の集積を準備中である。 3. サルコイドーシスはPF-ILDをきたしうる慢性間質性肺疾患である。サルコイドーシス198例を対象に、1年間の%FVC低下5%以上、%DLCO低下10%以上は、生命予後と関連しないことを論文化した。以前に同一コホートで、2年間の%FVC低下10%以上、%DLCO低下15%以上が、生命予後と関連することを明らかにしており、異なる「進行性」の定義が、症例のリスク予測に影響を与えることを報告した。 4. 新型コロナウイルス感染症は、線維性間質性肺疾患に類似した肺の線維化を生じることがある。新型コロナウイルス肺炎罹患後に好酸球性肺炎を生じ、ステロイド治療なしで軽快した症例を経験し、英文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. IPF患者を対象とした画像解析研究、サルコイドーシス患者を対象とした臨床研究は概ね順調に進んでいる。 2. 前向きの多施設共同研究はやや遅れている。すでに多施設共同前向きコホート研究のプラットフォームは構築されており、京都大学では家族性肺線維症の症例集積を始めているが、代表研究者の異動があり、新規症例の集積に影響した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 京都大学で脳死肺移植登録されたPF-ILD症例を対象に画像解析研究を行い、とくに肺移植を施行された症例では、登録時と移植時での経時的な画像変化、病理所見との比較照合を行う。血液検体が保存されている症例では、オミックス解析を行い、画像所見との関連を検討する。 2. 多施設での線維性間質性肺疾患症例の新規登録を行う。100例を目標に臨床情報(病歴、呼吸機能など)、画像、病理所見、遺伝子解析を含むオミックス解析用の血液検体を集積する。ここで集積されたDNA検体を用いて、全ゲノムシークエンスWhole Genome Sequencing(WGS) を行い、画像的な特徴や疾患の進行に関与する遺伝的な背景を同定する。コントロールとして、京都大学医学部附属ゲノム医学センターが主宰するながはまコホートのゲノム情報を用いる。 3. 多施設共同研究、とくに血液検体やDNA検体の集積が困難であれば、①臨床情報、画像の集積、②当科に保存された既存の血液検体を用いた遺伝子解析、バイオマーカーの評価や血清蛋白質の網羅的な測定、解析を優先的に行う。 4. IPFの画像解析、脳死肺移植登録された家族性肺線維症の予後解析を論文化する。
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