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非古典的Caspase-4活性を標的とした肺線維化制御法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K08296
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53030:呼吸器内科学関連
研究機関産業医科大学

研究代表者

大林 邦衣  産業医科大学, 医学部, 助教 (80456871)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードCaspase-4 / 肺線維化 / 炎症性細胞死 / 小胞体ストレス / 慢性炎症 / 上皮間葉転換 / 間葉上皮転換 / 微小環境形成
研究開始時の研究の概要

小胞体ストレスが肺胞上皮細胞に誘導する炎症性細胞死は、慢性炎症を引き起こし、肺線維化を引き起こす。これまでに我々は、小胞体ストレスによる炎症性細胞死にCaspase-4が関わることを明らかにした。同時にCaspase-4は線維化を増悪する上皮間葉転換も引き起こすが、この上皮間葉転換はCaspaseの古典的なプロテアーゼ活性には依存しないことから、Caspase-4には未知の機能があると思われる。そこで、本研究では非常に強い小胞体ストレスを誘導し、肺線維化を引き起こす新型コロナウイルス感染症を念頭に、小胞体ストレス誘導性Caspase-4の役割解明と、その制御法の確立を目的とする。

研究実績の概要

異常なタンパク合成による強い小胞体ストレスは、肺胞上皮細胞で炎症性細胞死を導き、慢性炎症とともに肺線維化を引き起こす。炎症性細胞死にはCaspase-4が関わり、線維化を増悪する上皮間葉転換を起こすが、上皮間葉転換はCaspaseの古典的なプロテアーゼ活性には依存しないことから、Caspase-4には未知の機能があると考えた。本研究の目的は、非常に強い小胞体ストレスを誘導し、肺線維化を引き起こす新型コロナウイルス感染症を念頭に、小胞体ストレス誘導性Caspase-4の役割解明と、Caspase-4阻害化合物による肺線維化の制御法を確立することである。
今年度は、①昨年度より変更し、レンチウイルスによりCaspase-4遺伝子を導入した細胞株を樹立し、その発現誘導と活性評価系を検討した。②昨年度見出したCaspase-4遺伝子発現を制御する複数の転写因子の機能を解析した。③昨年度作製したCaspase-4レポーター細胞の改変を検討した。
その成果は以下である。①テトラサイクリン誘導システムを導入したレンチウイルスを用いてドキシサイクリン依存的にCaspase-4遺伝子発現を誘導可能な肺上皮細胞株を作製した。さらにドキシサイクリン濃度依存的なCaspase-4発現を確認し、発現に伴う細胞形態の変化を確認した。②Caspase-4遺伝子発現を制御する転写因子を欠失する肺上皮細胞株を樹立し、小胞体ストレス影響下におけるCaspase-4遺伝子発現の誘導効率を確認した。さらに同転写因子を過剰発現する肺上皮細胞株を樹立し、小胞体ストレス影響下におけるCaspase-4遺伝子発現の誘導効率を確認した。③昨年度より特異性の高い活性を評価できるCaspase-4レポーター細胞株の樹立を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①定常状態における肺上皮細胞の内在性Caspase-4発現の高さがCaspase-4遺伝子導入に対する障害となっていたが、テトラサイクリン誘導システムを組み込んだレンチウイルスベクターを用いることでドキシサイクリン依存的にCaspase-4発現を誘導可能な肺上皮細胞株を樹立することができた。この成果により、様々な強度のCaspase-4活性促進下での炎症制御機構を把握できると考える。
また、②昨年度同定したCaspase-4遺伝子発現を制御する転写因子を欠損した肺上皮細胞株を樹立し、それら転写因子の機能解析を進めることができた。この成果により、小胞体ストレス影響下における転写因子によるCaspase-4遺伝子発現の制御機構を把握できると考える。
さらに、③研究の進捗に伴い、阻害化合物のスクリーニングに用いるCaspase-4レポーター細胞株の改変が必要と考えられ、現在改変を進めており、より有用性の高い細胞株を用いたスクリーニングに着手できると考えている。

今後の研究の推進方策

Caspase-4を特異的に制御する転写因子の解析と、様々なCaspase-4発現に依存した線維化や慢性炎症状態の解析を行い、Caspase-4発現誘導とその発現誘導に伴う一連の変化を追うことで、Caspase-4の非古典的な未知の機能を解明することを当面の目的とする。さらに研究の進捗に伴って改変したCaspase-4レポーター細胞株を用いて、約6000個に及ぶ阻害化合物のスクリーニングを進める。スクリーニングによって選ばれた阻害化合物によるCaspase-4活性阻害下における上皮間葉転換を検討することでCaspase-4活性抑制による肺線維化の制御法の確立を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Caspase-4 has a role in cell division in epithelial cells through actin depolymerization2024

    • 著者名/発表者名
      Sumida K, Doi T, Obayashi K, Chiba Y, Nagasaka S, Ogino N, Miyagawa K, Baba R, Morimoto H, Hara H, Terabayashi T, Ishizaki T, Harada M, Endo M
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 695 ページ: 149394-149394

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.149394

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ANGPTL8 links inflammation and poor differentiation, which are characteristics of malignant renal cell carcinoma2023

    • 著者名/発表者名
      Takuo Matsukawa , Tomomitsu Doi , Kunie Obayashi , Kazuhiro Sumida , Naohiro Fujimoto , Motoyoshi Endo
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 114 号: 4 ページ: 1410-1422

    • DOI

      10.1111/cas.15700

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Promoter analysis of Caspase-4 gene in tumor cells2023

    • 著者名/発表者名
      大林邦衣、土井知光、千葉要佑、隅田和広、長坂昌平、遠藤元誉
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Runx1 enhancer eR1 labels basal cell like stem cells in murine bronchi2023

    • 著者名/発表者名
      土井知光、大林邦衣、千葉要祐、大里元美、遠藤元誉
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CASP4 in epithelial cells regulates cell division and cell size through actin depolymerization2023

    • 著者名/発表者名
      隅田和広、土井知光、大林邦衣、松川卓生、千葉要佑、長坂昌平、小山倫太郎、遠藤元誉
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Caspase4 regulates polyploidization of hepatocellular carcinoma cells through cofilin activity2023

    • 著者名/発表者名
      隅田和広、土井知光、大林邦衣、松川卓生、千葉要佑、長坂昌平、小山倫太郎、遠藤元誉
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Angiopoietin-like protein 8 (ANGPTL8) は淡明細胞型腎癌の未分化状態の維持と腫瘍微小環境形成に関わる2023

    • 著者名/発表者名
      松川 卓生, 土井 知光, 大林 邦衣, 隅田 和広, 藤本直浩, 遠藤 元誉
    • 学会等名
      第32回泌尿器科分子・細胞研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Angiopoietin-like protein-8(ANGPTL8)は、淡明細胞型腎癌の分化に関与する。2022

    • 著者名/発表者名
      松川 卓生, 土井 知光, 大林 邦衣, 隅田 和広, 藤本直浩, 遠藤 元誉
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 肝細胞におけるCaspase4のストレス調整因子としての機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      隅田 和広, 土井 知光, 大林 邦衣, 遠藤 元誉
    • 学会等名
      第16回日本臨床ストレス応答学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 呼吸器疾患における炎症性カスパーゼ・パイロトーシスの機能解明2022

    • 著者名/発表者名
      千葉要祐, 遠藤元誉, 土井知光, 大林邦衣 , 矢寺和博
    • 学会等名
      第62回日本呼吸器学会学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 非小細胞肺癌の進展における炎症性カスパーゼの機能解明2022

    • 著者名/発表者名
      千葉 要祐,土井 知光,大林 邦衣, 松川 卓生,隅田 和広,加藤 香織,遠藤 元誉,矢寺和博
    • 学会等名
      第40回産業医科大学学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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