研究課題/領域番号 |
22K08302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
坂入 徹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20455976)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 糖尿病性腎臓病 / 糸球体上皮細胞 / TGF-β / WT1 / miR-143 / miR-145 / ポドサイト / microRNA |
研究開始時の研究の概要 |
我々は以前、糖尿病性腎臓病や巣状糸球体硬化症の糸球体上皮細胞で発現が亢進するTGF-βが、培養糸球体上皮細胞とマウスの糸球体上皮細胞において細胞の正常機能維持に必要なWT1の発現を低下させることを報告した。その後、TGF-βがmicroRNAのmiR-143/145の発現を上昇させ、上昇したmiR-143/145がWT1の発現を低下させることを見出した。今回の研究では、糸球体上皮細胞におけるmiR-143/145の関与を明確にするために、糸球体上皮細胞特異的にmiR-143/145を高発現するマウスを作成し、同マウスが糸球体上皮細胞障害による腎症を発症するかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
糖尿病性腎臓病における糸球体上皮細胞障害に液性因子のTGF-βが関与していることが知られている。申請者らは以前、ヒト培養糸球体上皮細胞にTGF-βを作用させると細胞の正常機能の維持に必要とされている転写因子のWT1の発現が低下することを見出し、TGF-βによる糸球体上皮細胞障害の機序の一つとして報告した。 今回、申請者らはmicroRNA microarrayを用いてTGF-βを作用させたヒト培養糸球体上皮細胞でmiR-143の発現が上昇することを見出し、更に、定量的PCR法を用いてTGF-βを作用させたヒト培養糸球体上皮細胞でmiR-143-3p/miR-145クラスターの発現が上昇すること、2型糖尿病モデルのdb/dbマウスの単離糸球体においてmiR-143の発現が増強することを確認した。 続いて、miR-143とmiR-145の機能を調べるため、レンチウイルスベクターを用いて培養糸球体上皮細胞にmiR-143またはmiR-145を強制発現させたところ、miR-143とmiR-145のどちらの強制発現においてもWT1の発現が低下することが示された。 更に、TGF-βによるmiR143/145の発現増加とWT1発現低下の機序を調べるため、レンチウイルスベクターを用いてSmad4のShRNAを培養糸球体上皮細胞に導入することでSmadシグナルをブロック、または、mTOR阻害薬のラパマイシンを作用させることでmTORシグナルをブロックしたところ、どちらの場合も、TGF-βによるmR-143とmiR-145の発現上昇、およびWT1の発現低下が部分的に抑えられた。 以上から、糸球体上皮細胞において、TGF-βはmiR143/145クラスターの発現を増加させ、増加したmiR143/145はSmadシグナルとmTORシグナルをそれぞれ部分的に介してWT1の発現を低下させることが示された。糖尿病性腎臓病における糸球体上皮細胞障害にmiR-143/miR-145クラスターが関与していることが示唆された。
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