研究課題/領域番号 |
22K08307
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
大橋 温 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50397387)
|
研究分担者 |
加藤 明彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (60324357)
安田 日出夫 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (60432209)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 慢性腎臓病 / 腎臓内レニン-アンジオテンシン系 / 運動 / コリン作動性抗炎症反応経路 / 腎臓障害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「慢性腎障害では、運動が迷走神経を介して、コリン作動性抗炎症反応経路により脾臓のマクロファージの炎症反応を抑制する。炎症の抑制は、腎臓内レニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制をきたし、腎臓障害を軽減する。」との仮説を立て、この検証を研究目的とした。 このことは、運動療法が、腎臓障害の減少に繋がることへの科学的な根拠を与えることで運動療法を推進する力になること、コリン作動性抗炎症反応経路への介入で、慢性腎障害の進行抑制の新規治療法開発にも繋がることから有用な研究と考えている。
|
研究実績の概要 |
本研究では、「慢性腎障害では、運動が迷走神経を介して、コリン作動性抗炎症反応経路により脾臓のマクロファージの炎症反応を抑制する。炎症の抑制は、腎臓内レニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制をきたし、腎臓障害を軽減する。」との仮説の検証を基礎研究と臨床研究の2方面から明らかにすることを研究目的とし、2022年度は以下の内容を進めた。 基礎研究では、慢性腎臓病(CKD)モデル動物への運動が、腎臓内RASを抑制し、腎臓障害を改善する条件の確立を目指している。具体的には、CKDモデル動物として、残存腎臓に過剰ろ過をきたし腎臓障害をきたす5/6腎摘モデルマウス、投与量や投与頻度依存性に大量の蛋白尿をきたし、巣状分節性の糸球体病変を呈するアドリアマイシン腎症モデルマウスや、膵臓β細胞の破壊により1型糖尿病を呈し、経過とともに腎臓障害をきたすストレプトゾトシン誘発1型糖尿病性腎症モデルマウスの作成を行い、腎臓障害や腎臓内RAS活性の評価を検討している。これにトレッドミルによるランニングや水泳などの運動を、強度や頻度を調整しながら、腎臓障害や腎臓内RAS活性の改善を検討している。 臨床研究では、CKD患者に運動療法(レジスタンス運動、有酸素運動)を行い、運動療法を行った場合を行わなかった場合と比べて、筋力や筋肉量の増加、尿中アルブミンや尿蛋白排泄率減少に加え、腎臓内RAS活性のサロゲートマーカーである尿中アンジオテンシノーゲン(AGT)排泄率の減少を明らかにすることを目標としている。具体的には、当院整形外科、リハビリテーション科との学内共同研究で、全人工股関節置換術の施行患者に術後3ヶ月目から3ヶ月間の週1回のリハビリテーション通院による積極的な運動治療と通常の生活を比較する前向き介入研究を開始している。現在27名を登録している。継続して症例数を蓄積していこうと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎研究では、実際に手を動かす直接の研究者が2022年度から研究を開始したばかりである。そのために手慣れという部分で少し時間を要しているが、徐々に迅速かつ適切に実験を出来るようになってきており、今後のスピーディーな実験の進捗が期待される。 臨床研究では、CKDに該当する全人工股関節置換術を施行する患者が少ないこと、および遠方より通院の患者が多く、週1回の積極介入群にエントリーして頂ける患者の数が少ないことが症例登録数の少なさと関係している。より積極的に研究に関わって頂けるよう本研究の大切さをアピールしていこうと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
基礎研究では、CKDモデル動物とそれに対する運動療法の介入の仕方を、なるべく早い時期に、しかも確実に決定していく。これらが決まれば、運動による腎臓障害や腎臓内RAS活性の改善の機序を明らかにしていく。候補として、迷走神経刺激とそれによるアセチルコリン分泌が関与することを考慮している。研究の具体的な推進としては、CKDモデルを惹起した後、運動を行い、腎臓障害や腎臓内RAS活性亢進の改善が、迷走神経切除やアセチルコリン受容体アゴニストであるGTS21を投与することで、運動による改善効果がなくなることを検討していく。 CKD患者の全人工股関節置換術後の運動療法による尿蛋白や尿中アルブミン、更には腎臓内RAS活性のサロゲートマーカーである尿中AGTの排泄改善を検討する臨床研究では、実際にそれらの濃度測定を行い、仮設通りかの検証を開始する。加えて、研究の意味づけをしっかりと理解して頂き、特に積極的なリハビリテーション介入群に参加して頂けるよう魅力あるプレゼンテーションに心がける。
|