研究課題/領域番号 |
22K08316
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
黒須 洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40468690)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | PEX / DMP-I / FGF-23 / DMP-1 / Phex |
研究開始時の研究の概要 |
FGF23依存性遺伝性低リン血症性くる病・骨軟化症の原因遺伝子としてPHEX, FGF23, DMP1が同定されている。これらの3つの原因遺伝子の間には連関した制御の存在が示唆されているが、先駆的研究は、骨細胞におけるPHEX-DMP1連関によるFGF23分泌制御メカニズムの解明には至れていない。本研究では、原因遺伝子の同定以来20年以上が経過しながらも未解明であるこの遺伝性疾患の根本的発症機序の解明を目的に、この疾患の2つの原因遺伝子PHEXとDMP1に連関した骨細胞でのFGF23発現抑制制御を駆動させる内在性因子を同定し、細胞・個体レベルでその作用の正当性を検証する。
|
研究実績の概要 |
令和4年度の研究より明らかとなった、PHEXに依存したDMP-Iの切断部位と推察できる164番目のグルタミン酸をアラニンに置換したDMP-I E164Aを野生型PHEXと共発現させた培養上清中には、予想に反して、野生型DMP-Iの場合と同レベルのFGF23発現抑制活性がUMR-106細胞において認められた。この結果より、DMP-I中のS163とE164の間のPHEXによる切断がFGF23発現抑制活性に連関しないことが明らかになった。一方で、この結果は、DMP-I中には、そのS163とE164の間ではないPHEXによる切断箇所が存在する可能性を示している。そこで、令和5年度においても、昨年度の研究より有用手法と考えられたアラニンスキャニングによるDMP-I遺伝子への変異導入を行い、PHEXによる切断が抑制されるDMP-I中のアミノ酸部位の同定を行った。その結果、DMP-I上の新たなPHEXによる切断部位の候補として、494番目のアスパラギン酸、あるいは502番目のグリシンを見出した。それぞれのアミノ酸をアラニンに置換したDMP-I D494AとDMP-I G502Aは、いずれもUMR-106細胞に野生型PHEXとともに共発現させた場合、野生型DMP-Iと比較して分子サイズの大きいバンドがイムノブロットで検出された。加えて、遺伝性の低リン血症性くる病・骨軟化症を発症する変異DMP-I遺伝子において、これら2つの494番目のアスパラギン酸と502番目のグリシンは、ともに欠損部位に含まれている。このため、これらの2つのアミノ酸に近接する配列にこれまでに報告のないPHEXによるDMP-Iの切断部位があることが考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的知見より見出していた培養細胞レベルでのPHEX発現に依存したDMP-Iの発現減少にPHEXに依存したDMP-Iの切断が関与していることを示すことができた。但し、令和4年度に見出した164番目のグルタミン酸は、PHEXの切断部位であることは示せたが、この切断にFGF23発現抑制活性との連関は認められなかった。令和5年度の研究より得られたDMP-IのC末付近にPHEX切断部位の候補を見出した結果は、疾患を発症させる変異DMP-Iの配列を考えた場合、PHEX・DMP-I・FGF23連関解明に繋がる発展性を有するものと考えられる。このことから研究課題は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究より明らかとなった知見をもとに、PHEXに依存したDMP-I切断部位と推察できるDMP-I C末近傍の配列を適宜アラニンに置換した変異DMP-Iを作製し、野生型PHEXと共発現させた培養上清中に、UMR-1細胞でのFGF23発現抑制活性がないことを確認したうえで、PHEX-DMP-I連関に依存したFGF23発現抑制活性の単離を試みる。
|