研究課題/領域番号 |
22K08321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
和田 健彦 東海大学, 医学部, 准教授 (90447409)
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研究分担者 |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
豊田 雅夫 東海大学, 医学部, 准教授 (00349383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ポドサイト / 糖尿病 / ビタミンD / 細胞分化 / 細胞周期 / 糖尿病性腎症 / 分化調節 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓の濾過装置を構成するポドサイトは、高度に分化して尿に蛋白が漏出することを防止する重要な細胞です。当研究グループでは、糖尿病による腎障害の原因としてポドサイトの障害のメカニズムに注目し、それに対する防御機構について研究しています。この研究ではビタミンDの作用による細胞内シグナル伝達がポドサイトの分化状態を維持することが障害に対する防御機構となるという仮説を立て、それを検証する予定です。
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研究実績の概要 |
本研究課題では糖尿病に関連する様々な代謝性ストレス環境下で糸球体足細胞(ポドサイト)が最終分化段階にある定常状態から脱分化・細胞周期への再導入と関連していること、さらにビタミンDがビタミンD受容体シグナルを介して分化維持作用を発揮することにより細胞保護的に働くという仮説を検証している。現時点においては、糖尿病モデルマウスの作成およびアルブミン尿排出の確認、活性型ビタミンD製剤による軽減効果についてパイロット実験を通じて確認の上条件検討が進んでいる。また、in vitro実験については、培養ポドサイトの準備に時間を要し、また、細胞周期調節蛋白やポドサイト関連蛋白の発現検討のための条件検討は進められているものの、病理組織学的検討やmRNA発現の検討の中途にあり、蛋白発現に関する検討は開始できていない。さらに、検討を深化させる契機となるようなロバストな結果は十分に得られておらず、今後更なる条件検討が必要である可能性がある。このように、本研究課題の進捗としては、当初予定に比べてin vivo実験・in vitro実験ともに時間を要していると言わざるを得ない。今後、これまでに得られた条件を用いて、細胞数・細胞サイズの変化や細胞周期調節蛋白およびポドサイト関連蛋白の発現状況、さらにビタミンD受容体シグナルの関与に関する検討を進める予定である。 一方で共同研究グループにおいては、マイクロデバイスを用いた、より生理的かつダイナミックなポドサイト培養条件の開発が進んでおり、今後、この技術の本研究課題への応用について期待されるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験条件の再検討および当初想定していなかった人的要因によって研究計画より遅れている現状である。当初の研究計画では糖尿病モデルマウスにおける活性型ビタミンD製剤の蛋白尿抑制効果と病理組織学的腎障害軽減効果を検討するin vivo実験と、培養ポドサイトに糖尿病関連代謝性ストレスを負荷した場合の細胞生物学的変化とそれに対する活性型ビタミンD製剤の作用を検討するin vitro実験を施行する予定であった。In vivo実験では糖尿病モデルマウスにおけるアルブミン尿排出の確認と、それに対する活性型ビタミンD製剤投与に関する条件検討が出来ているが、病理組織学的解析の条件検討が十分に進められていない。一方、in vitro実験においては、条件検討や免疫染色および定量PCR等の最適化に時間を要し、考察するに十分な結果が得られていない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題においては、今後、本来初年度に検討を進めるはずであったポドサイトの分化状態に関する検討および、それに対する活性型ビタミンD製剤の反応による細胞生物学的変化を明らかにすることを計画している。また、その次の段階として、ビタミンD受容体シグナルの関連を検討する予定であり、具体的にはビタミンD受容体の核内移行について、細胞免疫染色および細胞核抽出液を用いたウエスタンブロット法による検討を条件検討の後に施行する予定である。また、その下流におけるシグナリングとして、JAK-STAT経路・PI3K-Akt経路・ERK経路を候補としてin vitro実験で検討を進める予定である。さらに、ビタミンD受容体欠失ポドサイトの作成については、siRNAを用いた条件検討などを可能な限り早期に開始し、陽性変化が得られた条件におけるビタミンD受容体シグナルの関連について検討を進める必要があると考えている。なお、研究代表者の和田が令和5年4月より他施設へ異動したが、研究分担者の協力の下、東海大学の研究施設・設備を主に利用し、連絡を密にして研究活動を継続する予定である。
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