研究課題/領域番号 |
22K08330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
金崎 啓造 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (60589919)
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研究分担者 |
外山 雄大 島根大学, 地域包括ケア教育研究センター, 研究員 (60880507)
矢本 琢真 島根大学, 医学部, 医科医員 (60931227)
小林 弘典 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (70397868)
川北 恵美 島根大学, 医学部, 助教 (70835884)
槇野 裕文 島根大学, 医学部, 医科医員 (90896052)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | BAIBA / lactate / IL-18 / H2O2 / サルコペニア / 腎臓 / 抗老化 / 線維化 / 糖尿病性腎症 |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニアを合併する糖尿病性腎臓病(DKD)において、インスリン抵抗性、サルコペニア、腎障害は負のスパイラルを形成して病態進展に寄与する可能性がある。新規マイオカインであるβアミノイソ酪酸(β-aminoisobutyric acid: BAIBA)は、インスリン抵抗性改善・線維化抑制効果等を有し、上記症例に対して治療戦略となる可能性があるが、DKDにおけるBAIBAの実態は不明であり、臨床サンプル、動物、細胞実験を行い解明する。BAIBAに関しては、異性鏡像体を正確に識別する測定系はすでに我々が独自に確立しており、人臨床サンプルを用いて解析を行い独自性の高い解析を実施できる。
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研究実績の概要 |
筋肉由来の各種分子やサイトカインに関して臓器障害・保護効果への解析を進めている。無酸素運動下において、乳酸濃度が増加することは広く知られており、乳酸自体がp38MAPKを介して細胞老化を誘導することが知られている。我々の解析では尿細管上皮細胞において過酸化水素負荷時には乳酸が増加し、同時にp38MAPKが誘導されることが明らかとなった。またp38MAPK阻害薬により過酸化酸素負荷時に生じる細胞老化が抑制され、SASP表現系も抑制されることから、乳酸自体が根本的な臓器障害因子であると考えてさらに研究を進めた。しかしながら、予想に反して、数回の予備的検討では乳酸孵置は細胞老化を抑制していることが考えられ、過酸化水素負荷時における乳酸上昇の病態的意義に関しては未だ解明につながっていない。乳酸自体は保護的に寄与する可能性がある。一方、過酸化水素負荷時に生じる異常解糖系の活性化をTEPP46(PKM2活性化薬)投与により抑制すると、乳酸抑制とともに細胞老化も抑制できた。すなわち、過酸化水素負荷時における乳酸上昇は異常解糖系誘導の結果であり、PKM2活性化時には乳酸誘導経路の抑制と同時にミトコンドリア代謝の保護が生じる可能性が考えられる。筋肉由来のBAIBAに関して、既報と同様の臓器保護効果がin vitro研究ではなかなか確認できないが、現在過酸化水素負荷時の細胞老化に及ぼす影響を解析している。また、心筋障害に対する活性化IL-18の演じる意義に関して解析を進めている。また、当方が所有する心臓・腎臓における線維化が顕著なCD-1db/dbマウスが細胞老化蛋白の誘導を伴っていることも見出し、それがTEPP46により抑制されることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は筋肉由来のBAIBAが演じる臓器保護効果に注目して解析を行うつもりであったが、そもそも既報と同様のBAIBAによる臓器保護の可能性に関してin vitroで示唆するデーターが得られない。モデルや手を変えて実験を行ってみたが、同様の結果である。そこでBAIBAに関しては、現在細胞老化に対する解析を行っている。その一方で、インフラマゾーム活性化に伴う活性化IL-18の演じる臓器障害機構に関してはヒトサンプル解析などで心筋障害に寄与する可能性が示唆され、現在心筋線維芽細胞を用いた解析を行っている。過酸化水素負荷時の乳酸上昇に関してもほぼ既報と逆の結果が得られているため、慎重に解釈を交えながらチームで解析を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はBAIBAの細胞老化に及ぼす影響に対して力を入れて解析するとともに、心筋障害に対してIL-18に関連する知見、および、尿細管細胞に対して異常解糖系・乳酸産生系などに関しての論文に関しては発表できると思われる。繰り返しになるが、そもそもの予定であったBAIBAの系がin vitroで確認できていないのは予想外であったが、細胞老化の実験系が確認できた後に、当方が所有する心臓・腎臓における線維化が顕著で細胞老化を伴うCD-1db/dbマウスに対して介入を行う。
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