研究課題/領域番号 |
22K08339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
伊與田 雅之 昭和大学, 医学部, 教授 (20384365)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ILC2 / 腎線維化 / 微小変化型ネフローゼ症候群 / 2型自然リンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
2型自然リンパ球 (ILC2s)は線維化やアレルギー疾患の発症において重要な役割を演じている。本研究では腎疾患におけるILC2sの関与について、次の2項目を検討する。① 腎線維化モデルマウスを使用し、ILC2sの発現誘導、細胞移植等を行い、病理学的・免疫学的に腎線維化とILC2sの関連性を証明する。② アレルギーとの関与が疑われている微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)の病態におけるILC2sの関与を、患者検体や培養podocyteを用いて検討する。
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研究実績の概要 |
①腎線維化におけるILC2の関与 HIFによるILC2制御機構の解析を通じ、線維化制御機構の解明を目指した。腎ILC2をソートし、培養中にHIF-PHD阻害剤を添加、その培養上清を骨髄由来マクロファージ(BMDM)に添加した。HIF活性化で、ILC2の増殖能・IL-5・IL-13産生・ST2L発現の低下、p38 MAPKリン酸化が減少した。HIF-PHD阻害剤で処理したILC2培養上清のBMDMへの添加で、M2マクロファージ分極が抑制された。次に、CKD病態における腎ILC2sの役割とその線維化抑制機構の解明を目指した。アデニン腎症CKDモデルを作成し解析した。CKD腎のILC2はIL-5産生・GATA3発現が減少、IL-13産生が増加していた。ILC2を活性化するIL-33を投与すると、線維化領域の縮小を認め、線維化関連遺伝子発現も有意に低下した。腎ILC2と腎線維芽細胞株を共培養したところ、線維芽細胞でのActa2およびFn-1の発現が抑制された。
②微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) 発症におけるILC2の関与 我々は、IL-33受容体sST2がMCNS患者の腎生検時の血清・尿で高値であり、MCNS患者の臨床パラメーターと相関があることを見出した。そこで、MCNS患者と腎移植0時間プロトコール生検の腎生検標本を用いてIL-33の免疫染色を行った。In vitroでは、MCNS患者の血清とインキュベートした培養マウスpodocyte(MPCs)を用いて、IL-33の発現を評価した。その結果、MCNS患者において、糸球体上皮細胞にIL-33が強く染色された。培養MPCsでは、MCNS発症時の患者血清で刺激した群で、寛解時の血清で刺激した群と比較してIL-33mRNA発現量が多く、培養上清のIL-33濃度が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①腎線維化におけるILC2の関与 ILC2は低酸素によるHIF活性化でその機能が抑制され、M2マクロファージ誘導制御から、腎線維化を軽減する可能性が示唆された。また、アデニン腎症CKDモデルでの研究では、ILC2が腎線維化およびCKD治療の新しい治療標的となり得る可能性が示された。研究は順調に経過している。
②MCNS発症におけるILC2の関与 MCNSの病態に糸球体上皮を介したIL-33関連の免疫応答が関与する可能性が示され、研究は順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
①腎線維化におけるILC2の関与 今後はsortingして得られた腎ILC2またはその培養上清を用いて、近位尿細管上皮細胞での炎症性サイトカイン分泌抑制、EMT(上皮間葉転換)抑制効果に関して明らかにしていく。
②MCNS発症におけるILC2の関与 MCNS発症時の患者血清で培養podocyteを刺激した場合、IL-33やAngptl4発現は誘導できたが、MCNS発症に重要なCD80発現は認めなかった。PodocyteにおけるCD80発現誘導に関して探る。
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