研究課題/領域番号 |
22K08340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
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研究分担者 |
駒場 大峰 東海大学, 医学部, 准教授 (60437481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Klotho / FGF23 / 近位尿細管 / リン / ビタミンD |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓は老廃物や過剰な水分を排泄するのみならず,ミネラル代謝の維持にも深く関わっている。腎臓におけるリン再吸収とビタミンD活性化は近位尿細管で行われ,骨細胞から分泌されるFGF23によって調節される。しかし,FGF23がその作用を発揮する上で必要となる膜タンパクKlothoはむしろ遠位尿細管に強く発現しており,FGF23が近位尿細管に直接作用しているのかどうかは明らかではない。またKlothoには腎障害を軽減する作用が報告されているが,未だ確定的ではない。そこで本研究では近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスを作製し,近位尿細管に発現するKlothoの役割に関して検討する。
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研究実績の概要 |
腎尿細管細胞に発現するKlothoは,細胞膜においてfibroblast growth factor(FGF)受容体と複合体を形成し,骨細胞より分泌されるFGF23の受容体として機能する。FGF23の主たる生理作用は,近位尿細管においてリン再吸収を抑制することであるが,Klothoは遠位尿細管と比較し近位尿細管には僅かしか発現しておらず,FGF23が生理作用を発揮する機序は明らかではない。また近年,Klothoが腎保護作用など多面的な作用を有することが示されているが,これに関しても十分な確証は得られていない。そこで本研究では,近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスを作製し,近位尿細管に発現するKlothoのリン・ビタミンD代謝における生理的な役割を明らかにする。さらに本マウスに腎虚血再灌流障害を誘導し,近位尿細管に発現するKlothoの腎保護作用に関しても検討を行う。 近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスは,Cre-loxP部位特異的組換え法を用いて作成する。このためにはまず,Klotho-loxPマウス(ROSA26領域にCAG-loxP-STOP-loxP-Klothoがノックインされたマウス)が必要となる。本マウスの作製には既に成功しており,本研究のために安定した系統維持ができている。ついでこのKlotho-loxPマウスをSlc34a1-Creマウス(Slc34a1tm1(EGFP/cre/ERT2)Bhum)と交配させることにより,近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスを誕生させる計画である。 本年度はJackson Laboratory よりSlc34a1-Creマウスを入手し,これをKlotho-loxPマウスと交配し,近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスの作成に成功した。リン・ビタミンD代謝を中心に生化学データを評価し,表現型の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はJackson Laboratory よりSlc34a1-Creマウスを入手し,これをKlotho-loxPマウスと交配し,近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスの作成に成功した。生化学データを解析したところ,リン・ビタミンD代謝に大きな変化は認められなかったが,FGF23の有意な抑制を認めた。近位尿細管でのKlotho過剰発現により,FGF23に対する感受性が亢進していることが示唆される結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
近位尿細管特異的Klotho過剰発現マウスにおいて,Klothoが近位尿細管特異的に過剰発現していることを免疫染色により確認する。また,シングルセル解析を行い,Klotho過剰発現が近位尿細管細胞における遺伝子発現の変化に及ぼす影響を網羅的に検討する予定である。
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