研究課題/領域番号 |
22K08344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
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研究分担者 |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 糸球体腎炎 / アミノ酸代謝 / 遺伝子欠損マウス / トリプトファン / マクロファージ / 好中球 / トリプトファン代謝 / 抗GBM抗体型腎炎 / 半月体形成 / 免疫複合体 / 白血球 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、必須アミノ酸トリプトファン(TRP)代謝経路や代謝物の免疫学的な生理活性に注目が集まっている。申請者はTRPをキヌレニン(KYN)へ代謝する2種の酵素(IDO1,IDO2)のうち、IDO1欠損下でのみ炎症細胞活性化に伴いマウス糸球体腎炎が増悪することを見出した。本研究では、TRP代謝経路においてIDO1,2およびKYN下流に位置する2種の代謝酵素(KMO,QPRT)欠損マウスを用いた抗体型糸球体腎炎の表現系解析、TRP代謝物であるキヌレン酸(KYNA)投与による治療実験、TRP代謝酵素欠損好中球の免疫複合体刺激下の細胞活性化とマクロファージの炎症性形質転換能評価を実施する。
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研究実績の概要 |
①『KYN代謝酵素欠損マウスの抗体型腎炎表現系とキヌレン酸(KYNA)腹腔内投与の治療効果検討』 IDO1欠損マウス(IDO1KO)、IDO2欠損マウス(IDO2KO)、野生型(WT)に抗体型腎炎(NTS-GN)惹起を惹起し、表現系解析を行った。2週間時点での尿蛋白排泄量に有意な群間差は認められなかったが、IDO1KOは他に比べ血清Cr値、半月体形成数(%)が有意に高く、内皮下沈着も多く認められた。一方、IDO2KOとWTでは腎障害に大きな差は認められなかった。IDO1、IDO2免疫染色を行ったところ、2週間時点でIDO1はいずれの系統でも陰性で、非特異的な染色が認められるのみであった。IDO2は糸球体上皮細胞と思われる部位、また尿細管上皮への染色が確認された。IDO1KOにおいてNTS-GNによる腎障害が重症化した理由としてIDO1欠損下での細胞内エネルギー産生反応低下により生じる酸化ストレスの増悪、免疫調整作用を有する種々のTRP代謝物の濃度低下が寄与していると考えた。そこで、TRP代謝経路においてIDO1,2およびKYN下流に位置し、IDO1によるTRP代謝産物キヌレニン(Kynurenine; KYN)の代謝酵素(Kynurenine 3-Monooxygenase; KMO)に着目し、NTS-GNの表現系解析を実施した。 ②『TRP代謝最下流で機能する酵素欠損マウスにおける抗体型腎炎の表現型解析』 QPRTはTRPからNADに至る代謝経路の最下流で機能する酵素である。QPRT遺伝子欠損マウス(QPRTKO)の系統は樹立されており、現在実験必要数を確保するため、交配を行っている。 ③『TRP代謝関連酵素欠損白血球の炎症刺激によるin vitro表現型解析』 IDO1KO、WT骨髄由来の好中球を免疫複合体上で活性化させ、細胞形態変化の定量的評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IDO1KOマウスでは他系統と比べ血清Crの上昇、強い糸球体障害(半月体数の増加、内皮下沈着の増加)が認められた。また、KMO欠損マウス(KMOKO)においても、同様の疾患モデルを作成して表現系解析を行った。その結果、NTS-GN後の腎障害はWTと同程度であったが、組織学的には、KMOKOでは半月体の形成率がWTと比べ有意に低下していた。現在、TRP代謝産物キヌレニン(Kynurenine; KYN)の代謝産物キヌレン酸(Kynurenic acid; KYNA)をNTS-GNマウスに腹腔内投与する治療実験を実施している。IDO1KO由来好中球はWT由来好中球と比べ、免疫複合体による刺激により、時間経過に伴って有意に細胞面積やSpread cellの割合が増加することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
IDO1KO、IDO2KOで相反する表現系を示した原因が、IDO1KOでのKYNA低下、KMOKOでのKYNA上昇に関連すると考え、次年度もKYNA投与によるNTS-GN治療実験を継続する。 QPRTKOの交配に難渋しているが、交配数を増やすことで動物実験に使用できる個体数を確保したいと考えている。 免疫複合体刺激による好中球形態変化を、IDO2KO、KMOKOにおいても評価するとともに、KYNA添加による効果も検討する。これと並行して、TRP代謝関連酵素とマクロファージ分化との関連解析も実施する。
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