研究課題/領域番号 |
22K08364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
本島 英 東海大学, 医学部, 准教授 (80468636)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エリスロポエチン産生細胞 / iPS細胞分化誘導 / 腎性貧血 / 腎間質細胞 / 成人型エリスロポエチン産生細胞 / 分化誘導 / ヒトiPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
エリスロポエチンは赤血球を増やすホルモンで、腎臓の間質に存在する細胞から血中に放出される。腎機能が低下するとエリスロポエチンを産生する細胞が減少して貧血となる。透析患者の主な合併症は貧血であり、新たな治療方法が求められている。この問題を解決するために腎発生の経路を試験管内で模倣することにより、ヒトiPS細胞からエリスロポエチンを産生する細胞を創るのが本研究の目的である。最終的に、貧血にしたモデルマウスに得られた細胞を投与し、貧血を改善する効果があるかどうか検証する。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、エリスロポエチン(Epo)を産生する腎間質細胞の発生に異常をきたすマウスを発見し、発生中(E18.5)の腎を採取し腎間質細胞のシングルセルRNA-seq解析を行った。得られたデータを用いて、腎間質前駆細胞(SP)およびこの細胞の分化に必要なシグナルを推定し、ヒトiPS細胞から成人型(腎臓型)EPO産生細胞を分化誘導することが本研究の目的である。近年の研究で、ヒトiPS細胞から胎児発生の各段階を辿ってネフロン前駆細胞を分化誘導することが可能となってきている。腎発生が始まる後方中間中胚葉の段階までは既知のヒトiPS細胞の分化誘導系を利用し、その後のSPから後の段階はシングルセルRNA-seq解析で推定された分化シグナルを調節して最終的に成人型EPO産生細胞に到達するという戦略で研究を開始した。分化シグナルの調節は培養液中のリガンド、情報伝達系の増強剤および阻害剤の濃度変化で行っている。 現在までに、SPマーカーであるFoxd1の発現が、Bmpシグナルの抑制、ソニックヘッジホッグおよびレチノイン酸の添加により増大することを見出した。この段階で、低酸素状態で培養するとEPO産生量が4倍程度増加し、EPO産生細胞の前駆細胞が存在すると考えられた。しかしながら、EPO発現量は低レベルであり、培養条件の改善が必要と思われたが、効率よくEPO産生細胞を分化誘導するシグナルを同定するには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腎間質前駆細胞からEPO産生細胞への分化誘導系を確立することを目標としていた。しかし、腎間質前駆細胞マーカーであるFoxd1が高発現な細胞からEPO産生細胞への分化誘導の道筋が明確になっていない。マウスE18.5腎臓のシングルセル解析のデータから分化誘導シグナルを模索してきたが、効率的な腎間質細胞の分化誘導条件を見出だすには至っていない。ただし、このFoxd1誘導後の細胞を低酸素培養するとEPOの発現量が4倍程度増大した。したがって、この細胞でもEPO産生細胞の前駆細胞は含まれていると考えられた。そこで、EPO産生細胞とその前駆細胞の性状を明らかにするためにシングルセルRNA-seq解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞から分化誘導したオルガノイドのシングルセルRNA-seq解析の結果から、エリスロポエチン(EPO)産生細胞を効率よく分化誘導するシグナルを類推する。それによって分化誘導に必要と思われる化合物や増殖因子を選定し培養条件を調節して、EPO産生細胞を高効率に誘導できる系を構築していく。
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