研究課題/領域番号 |
22K08373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 隼也 東北大学, 大学病院, 講師 (30712195)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 抗菌ペプチド / カセリサイディン / DAMPs/PAMPs / 皮膚筋炎 / 若年性皮膚筋炎 / 感染症 / DAMPs |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,皮膚筋炎や若年性皮膚筋炎が微生物感染症を契機に発症あるいは急性増悪するという臨床医学的知見の分子学的機序を解明することを目的とする。LL-37、DAMPs、スカベンジャー受容体による免疫学的分子応答機序は微生物感染症に伴う皮膚筋炎の増悪だけでなく、免疫学的素因を持つヒト個体での筋炎関連自己抗体の産生開始(皮膚筋炎の発症)、全身性エリテマトーデスなど他の膠原病、炎症性疾患の病態形成および自然免疫に遍く関与すると予測しており、本研究は皮膚筋炎の増悪・発症のみならず、他の膠原病や炎症性疾患の病態解明、および新たな機序の皮膚筋炎や膠原病の治療薬、および抗炎症薬の開発につながると期待している。
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研究実績の概要 |
代表的なDamage-associated molecular patterns (DAMPs)であり、スカベンジャー受容体(SR)リガンドとして知られるdsRNA, dsDNA、high mobility group box 1 protein(HMGB1)を活性型カセリサイディンLL-37とともにヒト培養角化細胞(NHEK)に加えたところ、インターロイキン(IL)-6, IL-36γ、インターフェロン(IFN)β、腫瘍壊死因子(TNF)といった炎症性サイトカインが強く誘導された。またこれらの誘導は、SR阻害剤であるfucoidan や、SRに対するsiRNAの阻害により抑制された。さらに、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)にdsRNAとLL-37を加えた際、およびヒト単球由来マクロファージにdsDNAとLL-37を加えた際にも同様のサイトカイン誘導が観察された。これはLL-37がこれらのDAMPsと結合し、SRから細胞内に取り込まれ、炎症を誘導していることを示唆する。 野生型マウス背部皮膚でテープストリッピングを行うと表皮が肥厚し、真皮、皮下に好中球や単核球、組織球の浸潤を認め炎症が惹起される。LL-37、ウイルスのRNAを模したpoly(I:C)を皮下注射したうえでテープストリッピングを行うと表皮肥厚や炎症細胞浸潤が増強され、両者を皮下注射するとさらに増強された。皮膚を用いた定量PCRでは、テープストリッピングとLL-37皮下注射の併用群では、テープストリッピングのみの群に比べIL-1β、IFNβ、TNF、IL-6、 CXCL5, PTGS2, S100a9などのサイトカインの有意な上昇を認め、表皮障害に伴う炎症惹起にLL-37を加えると好中球性炎症が誘導されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験計画のうち研究計画1(皮膚筋炎患者組織・血中におけるウイルスRNA取り込み,LL-37発現の検討)については患者組織が揃わず、まだ行えていない。研究計画2(in vitro, ex vivoにおけるLL-37によるウイルス核酸およびDAMPs取り込み,およびLL-37放出機構の検討)についてはヒト培養角化細胞(NHEK)で進捗がみられるが,角化細胞以外の培養細胞や患者血清での検討はまだ行えていない.研究計画3(マウスにおける皮膚炎症モデルマウスの探索)については野生型マウスでの進捗がみられるものの,皮膚筋炎モデルマウスでの実験は行えていない。以上より遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究活動に対するエフォートを増やす.
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