研究課題/領域番号 |
22K08394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
清水 晶 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70396638)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 爪部ボーエン病 / ヒト乳頭腫ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
粘膜悪性型HPVは皮膚癌の原因となる。HPV感染は爪母中心に見られ、爪母がHPVに易感染性であると予想されるが、爪母でのHPV感染細胞や伝搬、腫瘍化機序は不明である。今回の研究では、シングルセルを含むトランスクリプトーム解析を用いた爪部ボーエン病における粘膜悪性型HPV感染細胞や腫瘍化機序の同定を行う。爪部ボーエン病が粘膜悪性型HPVの体表面リザーバーである可能性があり、爪母におけるHPVの感染様式と爪表面の産生ウイルス量を明らかにし、さらに爪部ボーエン病と内臓癌のHPVタイプを比較する。爪を介した伝染性悪性腫瘍の感染ルートの解明と、将来的な制御・予防法の確立を目標とする。
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研究実績の概要 |
粘膜悪性型Human papillomavirus (HPV)は、子宮頸癌や咽頭癌などの内蔵癌以外に皮膚癌の原因となる。申請者は、これまでに爪部ボーエン病における粘膜悪性型HPVの感染を明らかにしてきた。HPV感染は爪母中心に見られ、爪母がHPVに易感染性であると予想されるが、爪母でのHPV感染細胞や伝搬、腫瘍化機序は不明であった。 爪部ボーエン病検体を倫理承認の後、本学および共同研究機関(群馬大学、名古屋市立大)の検体を用いて解析を開始した。 群馬大学からの症例ではHPV56型をはじめ粘膜型ハイリスクHPVが複数の検体で検出されている。現在名古屋市立大の検体解析に着手した段階である。これらの爪部ボーエン病検体を用いて、引き続きHPVタイピングを行い、抗HPV抗体を用いた免疫染色とRNA in situ ハイブリダイゼーションにより爪母周辺におけるHPV感染分布を明らかにする。現在までの結果によると、爪部組織でも後爪郭腹側上皮を中心にHPV感染が見られるようであり、今後症例を増やし確認する予定である。 また、爪甲色素線条を呈したボーエン病の検体を用いて、表面擦過物によるHPV検出を行った。術前の爪上でスワッブ検体を採取しPCRを行い、切除サンプルと同じ粘膜型ハイリスクHPV58型を検出した。これは爪から子宮頸癌などの原因となる粘膜型ハイリスクHPVが排出されていることを意味しており、重要な発見であると思われる。この検討により、表面擦過物を用いて爪部ボーエン病の原因となるHPVが同定できることが明らかになり、爪部ボーエン病を疑った際、生検の前に非侵襲的な本検査を行うことで粘膜型ハイリスクHPV感染を確認できると思われる。爪母生検では新たな爪が生えない可能性があり、表面擦過物を用いたPCRは今後期待できる検査法である。本成果は英文雑誌に投稿し現在修正、再投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
倫理委員会承認後共同研究機関からの検体を入手でき、タイピングとHPVの局在を順調に確認中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は順調に進行しており、今後はRNA ISHを中心に解析を進める。特にHPVの感染部位と遺伝子発現、腫瘍形成におけるマーカーなどを子宮頸癌で行われている手法を参考に進めていく。爪部ボーエン病は希少な癌であり、共同研究施設を増やし症例数も増やしたい。
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