研究課題/領域番号 |
22K08400
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
内山 明彦 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (90760538)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | SOX2 / 転写因子 / 皮膚虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 急性期褥瘡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は転写因子SOX2により発現が促進される成長因子(EGFRリガンド)が酸化ストレスや血管傷害、アポトーシスなどを制御することで急性期褥瘡(皮膚虚血再灌流障害)を制御する機序を示し、組み換え蛋白質を用いた治療応用について検討することで、世界的に未だ有効な治療方法が確立されていないヒト急性期褥瘡に対する新規治療薬の開発による臨床応用を目標とする。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまでに皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)の病態において酸化ストレスや血管傷害が重要であり、それらを改善することで皮膚潰瘍形成を抑制することを見出した。また、申請者は皮膚表皮細胞に発現せず、口腔粘膜上皮に発現する転写因子SOX2が、皮膚の創傷と比較して口腔内の創傷を早期に治癒させる能力に寄与することを明らかにした。さらにSOX2を皮膚表皮細胞に発現させることで難治性皮膚潰瘍へ治療応用できる可能性についても明らかにした。これらの結果から申請者は皮膚虚血再灌流障害にの制御機構においてSOX2が重要である可能性があるという仮説を元に、皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)および酸化ストレスの制御機構についてSOX2に着目した研究を行っている。 本研究では、転写因子SOX2による皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)に対する生体防御機構の機序を解明することを目的とする。具体的には①転写因子SOX2による酸化ストレスの制御機構の解明と②転写因子SOX2のターゲット遺伝子に着目した褥瘡治療効果の検討を行い今後の臨床応用への基盤となる研究を細胞レベル・個体レベルで解明する(in vivo, in vitro)。具体的には表皮細胞特異的にSOX2の発現をタモキシフェン投与下で誘導できるK14CreERTM/LSL-SOX2(TG)マウスやIn vivo imagingで酸化ストレスを定量することが可能である酸化ストレス可視化マウス(OKD48-Luc)およびTGマウス由来プライマリーケラチノサイトなどを用いて検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)に対する転写因子SOX2の治療効果について検討を行った。方法として2枚の磁石を用いたマウス皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)の実験系を確立し、本研究で用いた。表皮細胞特異的にSOX2の発現をタモキシフェン投与下で誘導できるK14CreERTM/LSL-SOX2(TG)マウスを用いて、コントロール群とSOX2発現群で磁石を用いた皮膚虚血再灌流障害後に生じる潰瘍形成を比較した。その結果、SOX2発現群において有意に潰瘍形成が抑制されることを見出した。さらに皮膚虚血再灌流後の潰瘍部を含む皮膚組織を用いて炎症細胞浸潤(免疫染色:MPO陽性好中球数、CD68陽性マクロファージ数) 、アポトーシス細胞数(TUNEL染色)、血管傷害(CD31染色)について検討を行ったところ、SOX2発現群では炎症細胞浸潤や血管傷害、アポトーシス細胞が有意に抑制されることも明らかにした。さらにSOX2による皮膚虚血再灌流障害における生体防御機構に関する詳細な検討を行った。皮膚虚血再灌流障害部における皮膚組織から得られたmRNAをもちいてqPCR法にて炎症性サイトカインや酸化ストレス関連因子の発現について検討したところSOX2発現群ではTNF-αやiNOSなどの炎症性サイトカインの発現が低下し、抗酸化ストレス因子であるHO-1の発現が上昇していた。TGマウスと酸化ストレス可視化(OKD48-Luc)マウスを交配させ、TG/OKD-48マウスを作成し、皮膚表皮細胞に発現させたSOX2が皮膚虚血再灌流障害により生じる酸化ストレスに与える影響をin vivoで定量した。その結果、NRF2の活性化はSOX2発現群でコントロール群と比較して有意に上昇していた。
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今後の研究の推進方策 |
転写因子SOX2による酸化ストレスの制御機構および遺伝子発現制御をin vivo, in vitroにおいて解明する。マウス初代表皮細胞を用いてにおいて過酸化水素により生じる酸化ストレスに対するSOX2の影響およびその制御機構を解明するため活性酸素種(ROS)の定量、酸化ストレス関連遺伝子(Nrf2, HO-1, NQO-1, Trx2, NOX1~4)の発現量、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1βなど)の発現などを免疫染色やreal timePCR法を用いて検討する。SOX2/OKD48マウスを用いて皮膚虚血再灌流部位で生じる酸化ストレスについてSOX2発現群と非発現群での検討をin vivoで行う。さらに、SOX2のターゲットとして注目しているEGFRシグナルに関する検討を行う。
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