研究課題/領域番号 |
22K08401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
外川 八英 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (90361427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 紫外線ダーモスコピー / 紫光ライト / メラノーマ / 健常部の境界線 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では405 nm 紫光ライトを搭載したダーモスコピーカメラに加えて、よりメラニン色素の分布を正確に評価できる可能性が高い385 nm紫外光ダーモスコープの試作機を用いて黒子型のメラノーマを撮影し、後者を用いた場合の病変境界部の判別の有用性を検証する。同時に画像処理による病変境界部の明瞭化について検証する。本研究は将来的にはAIを用いた紫外線ダーモスコピー画像による病変境界部の自動認識へと発展させる基盤となる。
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研究実績の概要 |
申請者らが開発に関わったダーモスコピー専用カメラ(DZ-D100)の試作機として使用した385 nm紫外線(UV)撮影が可能なダーモスコープ(D385)は他の施設や企業などが開発や製品化していない独自のものである。光源として使用した場合、385 nmの紫外光は、UVに近い405 nmの紫色の可視光(DZ-D100に搭載)よりも表層の皮膚組織におけるメラニンの分布の観察に適している可能性がある。実際にD385のUVでメラノーマ症例を撮影した場合、DZ-D100の紫光画像に比べ、病変の境界が明瞭になる場合が少なくない。現時点ではメラノーマのダーモスコピー画像はDZ-D100による405nmの紫光像を中心に術前の画像を撮影しており、通常のダーモスコピー像のみの場合と405nmの紫光像を合わせた場合とで、どのように病変のマージンが異なってみえるか、また病理学的なマージンと照らし合わせた場合、より正確にマージンの判別が可能となっているか評価中である。現在D385を組み込んだ臨床試験を開始準備中であるが、先に報告中のD385とDZ-D100のデータを比較した論文が掲載されたのち、どのような所をポイントに両データを比較するかを今一度検討する予定である(具体的には病理標本から予想されうる病変の範囲、通常のダーモスコピーによる病変の範囲、通常+405nm像を合わせたダーモスコピーによる病変の範囲をそれぞれ線で引き、囲まれた図形の面積を求め、その面積の差などを評価のポイントにするかどうかなど)。また画像処理ソフトで、健常部皮膚にみられる濃淡のない淡い色素斑をマスク可能かどうかも模索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のように本研究では、メラノーマ患者の術前に病変をDZ-D100とD385を用いてダーモスコピー画像を撮影しそれぞれで病変境界を判別するとともに、通常のダーモスコピー画像における病変境界の視認性と比較するというのがメインとなる研究である。このため本研究の遂行にあたりDZ-D100とD385の両者で撮影される画像の視認性の違いを事前に評価しておくことが重要であることに気が付いた。したがって、本研究の前段階として、試作段階にあったDZ-D100とD385を併用して病変の撮影を行った過去のデータを用いて両者の画像について視認性を検証することとした。現在論文報告を進めている状況であるが、具体的には16人19病変の画像について、405 nmと385 nm波長におけるダーモスコピー画像における色素性の線、小点・小球などの構造の視認性をスコアで評価・比較し、両者の利点・欠点につき検証している。なお、新たな技術を用いたDZ-D100と同様にUV-LEDを有する従来の誘導蛍光ダーモスコピーとの違い、また405 nmと385 nmの波長が皮膚にあたえる細胞障害にリスクの考察も論文報告に含める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当科では年間20名以上、10年間で200名以上のメラノーマの診断・治療を行っている。一連の臨床研究について院内の倫理巣審査後、初診後切除前のメラノーマ患者に対し、まず患部の臨床写真、一般のダーモスコピー画像(非偏光・偏光)に加えDZ-D100とD385の各ダーモスコピー画像を撮影する。さらに通常のダーモスコピーで撮影した病変の境界とDZ-D100とD385ダーモスコピー画像を用いた病変の境界とを決定し、術後に各々の画像における病変の境界線と組織学的な境界を比較する本研究を進めていく予定である。本研究の最終目標は、AIを用いたメラノーマと健常皮膚の境界線の自動描線であり、D385で得られたメラノーマと健常部の境界線が、病理組織学的な境界線と高い精度で一致する場合、施設内の治療学人工知能(AI)研究センターからの助言をもとめつつ、AIの畳み込みニューラルネットワークを利用した物体検出のR-CNN(regions with convolutional neural network features)を行い、健常部とメラノーマの境界とを切り分けて認識するセマンティックセグメンテーション処理ができるようなプログラミングへとつなげて行きたい。
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