研究課題/領域番号 |
22K08408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
浅井 純 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50438222)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 乳房外パジェット病 / がんオルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
乳房外Paget病 (EMPD)は、高齢者の外陰部や腋窩に生じる皮膚悪性腫瘍である。進行すると予後が極めて不良で、EMPDに対する有効かつ安全性の高い治療法を開発し普及させることは急務だが、腫瘍細胞株が存在しないため新たな治療法に関する研究はほとんどない。本研究は、申請者が世界で初めてcancer tissue-originated spheroid法によって確立した培養EMPD細胞を用いて、EMPDの増殖、浸潤、転移のメカニズムを解明することを目的とする。特にマイクロRNAを始めとするエクソソームを介したがん微小環境の構成を解析し、それらがEMPDの浸潤、転移に及ぼす影響を検討する。
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研究実績の概要 |
乳房外パジェット病患者より樹立したがんオルガノイド(CTOS)におけるエクソソームの解析を行った。まずmicroRNAの中でmiR31-5p, miR31-3pに着目し、乳房外パジェット病由来CTOSにおけるmiR31-5pとmiR31-3pの発現をreal time PCR法を用いて測定したところ、両者ともに発現の低下がみられた。miR-31はSTAB2を抑制し、上皮間葉転換・浸潤・転移を阻害することが知られている。本研究におけるmiR-31の発現低下は、STAB2を介した上皮間葉転換・浸潤・転移の阻害作用を抑制することにつながり、乳房外パジェット病における上皮間葉転換・浸潤・転移を促進させることにつながることが示唆された。 引き続いて、表皮細胞におけるmiR31を同様にreal time PCR法を用いて測定したところ、表皮細胞ではmiR31の発現が乳房外パジェット病由来CTOSと比較して有意に高いことが明らかになった。乳房外パジェット病は上皮内癌の状態のときは周囲を表皮細胞に囲まれて存在しており、これらの周囲の表皮細胞から発現するmiR31が乳房外パジェット病の真皮への浸潤を阻害している可能性が示唆された。 次に、HaCaT細胞にmiR31-5p, miR31-3pの遺伝子を導入し、STAB2の発現を検討したところ、miR31-5pを遺伝子導入した場合、STAB2の発現は対照群と比較して有意な低下を認めたのに対し、miR31-3pでは逆に有意な増加を認めた。 今後は表皮細胞におけるmiR31、miR31の発現を調節することで浸潤のメカニズムを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳房外パジェット病におけるmiR31の発現が明らかとなり、浸潤メカニズムの解明につながる結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
miR31の乳房外パジェット病における役割を解明するため、3D培養表皮をもちいた乳房外パジェット病浸潤モデルの開発、miR31の遺伝子導入もしくは遺伝子抑制がCTOSにあたえる影響の検討、などを行っていく。 また、miR31の発現制御が乳房外パジェット病の新規治療につながる可能性について、引き続いて検討していく。
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