研究課題/領域番号 |
22K08415
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
大久保 ゆかり 東京医科大学, 医学部, 教授 (40233530)
|
研究分担者 |
神田 浩子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00345208)
尹 晶煥 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (30748885)
裴 恩真 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (40773388)
真村 瑞子 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (60400686)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 乾癬 / T細胞 / TGF-β / SMAD / 尋常性乾癬 / TGF-βシグナル伝達機構 / 樹状細胞 / ランゲルハンス細胞 / 生物学的治療薬 |
研究開始時の研究の概要 |
尋常性乾癬の病因病態形成に主要な役割を担う抗原提示細胞:樹状細胞,ランゲルハンス細胞,エフェクター細胞であるTリンパ球を制御するTGF-βシグナル伝達機構を解明することを目的とし,TGF-βの主要な細胞内シグナル伝達分子であるSmad2/Smad3/Smad4の遺伝子欠損マウスにイミキモド誘導性乾癬モデルを行い,皮膚炎症局所及び所属リンパ節の樹状細胞,ランゲルハンス細胞,T細胞サブセット分化活性化を解析,マウスから採取した細胞と培養樹状細胞及びT細胞に及ぼすTGF-βと炎症性サイトカインシグナル伝達経路の相互作用を分子細胞レベルで解析し,マウスモデルから得た知見を乾癬患者標本で検証する。
|
研究実績の概要 |
尋常性乾癬の病態形成におけるTGF-βシグナルの役割を解明する為、TGF-β細胞内シグナル伝達分子の内、TGF-βI型受容体によってC末端がリン酸化されるSMADに共有されるSMAD4を末梢T細胞特異的に欠損したマウスにイミキモド(IMQ)誘導性乾癬モデルを用い、皮膚炎症局所及び所属リンパ節の免疫細胞、特にT細胞サブセットを解析した。T細胞特異的SMAD4欠損マウスにおいては、野生型対照群と比較して乾癬重症度指標:Psoriasis Area and Severity Index (PASI)が有意に上昇し、Th17細胞とTh1細胞の皮膚浸潤増悪と所属リンパ節における有意な増加が認められたが、制御性T細胞やその他のエフェクターT細胞に有意差は認められなかった。TGF-βはIL-6と強調してTh17分化を誘導するが、C末端リン酸化SMAD3とSMAD4を介する古典的TGF-β細胞内シグナル伝達経路はTh17分化を抑制する分子群の転写を誘導して、むしろTh17分化を抑制することを発見した。Th1についてもTGF-βはC末端リン酸化SMAD3とSMAD4を介してTh17とは異なるTh1分化抑制因子を誘導することによってTh1分化を抑制することを解明した。 モデルマウスでの知見を基に、尋常性乾癬患者様生検皮膚組織標本(東京医科大学医学倫理委員会承認番号:SH3537)に近接ライゲーションアッセイを用いた免疫組織化学的解析を行なったところ、病変皮膚浸潤Th1、Th17細胞内におけるC末端リン酸化SMAD3とSMAD4の会合は他の細胞と比較して有意に低下していた。尋常性乾癬患者様生検皮膚組織のRNAシーケンスとパスウェイ解析を行ない、マウスモデルの結果を発展的に検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で、TGF-βが乾癬病原性T細胞を抑制する分子機序を解明し、尋常性乾癬患者様生検検体による検証を完了した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、会長を務める第38回日本乾癬学会学術大会(https://jspr38.jp/)において、初年度の研究成果を発表し、論文を投稿する。 本年度および来年度は、TGF-βによる樹状細胞とランゲルハンス細胞の分化活性化制御機構について研究を継続し、本年度の結果と併せて、新規治療標的の同定を目指す。
|